亡き人からの贈り物が支えに 『わすれられないおくりもの』

2018年7月12日

各地の災害で、大切な方を亡くされた方、自宅や仕事先が被災された方々に、
心よりお見舞いを申しあげます。

西日本を中心とした豪雨災害が起こってしまった。
1ヶ月前に起こった大阪北部地震の動揺が収まらないうちに、
思いがけない大きな災害となってしまった。
日ごとにひろがる被害に、心が追いつかない。
更に、過酷な中で救援・支援に当たっておられる方々の体調や心中を思うと、
いたたまれない思いである。
(昨晩も、被災地への物資輸送で往復しているであろう大型トラックの車列と30分ほど併走しただけで、
涙が出そうになった)

だからこそ、現場の声を的確に吸い上げて、「政治がもっと有効に機能しないものか」と憤りも感じている。

この絵本ブログの更新も、すっかり滞ってしまった。

自然の猛威と人間の非力さに愕然とする。
実際に「この災害を見聞きして、貴方は何が出来るでしょうか」と尋ねると、
多くの方が「自然の力の大きさに対して、人間は何も出来ません」と答える。
私も、そう思った。
でも、もう一度考えた。「本当に、何も出来ないのだろうか」
いや、誰でも・どこでも・いつでも出来ることが、一つあった。

それが、深呼吸だ。
さあ、貴方もそのまま深呼吸を3回やってみよう。吸う時よりも吐く時を意識して。

浅く短くなっていた呼吸が、深くゆっくりな呼吸に変わっただろうか。
わずかでも、心の落ち着きが感じられたのではないだろうか。

すこし冷静になれたところで、もう一度お尋ねする。
「貴方は、何が出来るでしょうか」
義援金や支援金の協力、支援物資の調達、ボランティアに駆けつける、
ハザードマップや避難場所・非常持ち出し袋・非常時の連絡方法の確認などなど。
ゆっくり考えてみると、いくつかのアイデアが浮かんでくる。

もし、これらのことが実際にできない場合であっても、
出来ることは、まだある。

今まで当たり前に考えていたこと(例えば、水道や電気・ガスが簡単に使えていたこと)が
当たり前ではなく、「有り難いこと」だったと気づくこと。
そして、それを支えてくれていた人々やその仕組みに感謝をする。

これも、「貴方に出来ること」の大切な一つだ。
そして、この気づきや感謝は、
これまでの自分の人生や日常をとらえ直すことが出来る尊いものである。
この尊い気づきや感謝を、ぜひ隣近所や子・孫へつぶやいてほしい。
そして分かち合ってほしい。

さらに、
「どれほど悲しいことやつらいことからも、
(人の支えがあれば)人間は学ぶことが出来る!」と、
自信を持って語ってほしい。

ゆっくり落ち着いて考えてみると、「本当に何も出来ない」ということは、
ほとんどない。

私も、ご門徒さんとともに三次市内のボランティアに入ります。
                    (記:源光寺住職 福間玄猷)

今日の絵本:
わすれられないおくりもの:S.バーレイ/さく 小川仁央/訳 評論社
http://www.hyoronsha.co.jp/company/index.html

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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