私が10年以上、視聴覚伝道を続けてこられたわけ

2019年8月23日

 

 私がお寺様でのご法話にスクリーンを使い始めたのは、今から10年以上も前の2007年。
これまでを振り返ってみれば、本当にたくさんの出会いと学びのお陰さまで続けてくることが出来た。
 一番心に残っているのは、長年、京都・西本願寺の御堂法話で手話通訳をされていた
川渕依子先生のもとへ、取材に寄せていただいた時のこと。
川渕先生は、「お寺にお参りの方は、みんな聴覚に不自由がない方だと思っているでしょうが、
実は、今のお寺のご法話の形は、聴覚に不自由を抱えている人には門戸が開かれていない状態なのですよ」
「せめて、自分のご法話は自分で手話が出来るようになってください」とお話しくださった。
大きな衝撃だった。
 
 それ以来、聴覚や視覚にご不自由を抱えておられる方への関わり方にはいろんな工夫を重ねてきたし、
私自身もテレビ世代として育っているため、慣れない仏教用語を耳だけで聞いて理解しようとする作業はとても難しく、
30分以上の集中力を持続することが難しいことを実感していた。
 さらに、お寺でのサマースクールや地域での子育て支援を続ける中で、
様々な特性の違いを持っている子どもたちに出会うことになる。
そこでは、特性の違いを持っている子どもたちが問題なのではなく、
一人ひとりの特性の違いを理解しないまま、一方的に伝えようとする大人に
問題があるのだと学ばせてもらった。
 
 考えてみれば、2500年以上にわたる仏教伝来の歴史は、
建築・美術・文学・音楽・法要儀式・葬儀法事など、様々な分野が多様に関わりながら、
積み重ねられたものだった。それは同時に、様々な価値観や特性を持った一人ひとりに寄り添いながら、
(仏教を人生のよりどころにして生きてほしいという願いと共に、)
伝え方を工夫してきた先人たちの歴史でもあったのだと思っている。
 
 今になっても手話でご法話をすることは出来ないが、
スクリーンや紙芝居・絵本などを使いながら、せめて、
1.ご法話に興味を持ってもらうこと。
2.何か一つでも、心にとめてもらうこと。
3.日常生活でも思い出して、人生のヒントにしていただけること。
こんなことを願いながら、布教伝道の工夫を重ねている。
*視聴覚伝道とは、紙芝居や絵本・スライドなどを使用しながら、視覚・聴覚などに訴えかける布教方法のこと。 
 
9月には、大阪にある本願寺津村別院でご縁をいただく。詳しくはチラシ参照。

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:gfukuma@agate.plala.or.jp
 ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma

■絵本のお坊さんが出来ること。
絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、仏さまの教えをお話しします。
悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
お寺での楽しい行事をご紹介します。
お寺でのボランティアを紹介します。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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