あなたに 光に出会っていただきたいのです!

2019年12月15日

今日のテーマは光です。
私たちが光を強く求めるのは、どんな時ですか。
例えば、災害に見舞われ停電で町の電気が消えた時。
6年前の、あの東日本大震災でもそうでした。
多くの方が慣れない夜の暗さに不安を抱えながら、過ごしておられました。
避難所となっている体育館、数週間ぶりに電気がともった時、
誰ともなく拍手がわき起こりました。
「電気がついた」「明るいね」「これで安心して眠れるね」
皆 口々につぶやきました。

光は、様々な役割を持っています。
闇を破り明るく照らす役目、
安心を与える役目、
進むべき方向とその出口を指し示す役目

インドで、カースト制度という厳格な身分制度とそれに伴う身分差別によって、
人々のいのちと生活が支配されていたその時代。
今からおおよそ2500年前、一人の王子が生まれた。
王子は、成長とともに、多くの苦悩を抱えることになる。
なぜ、人々は互いに争い、いのちを奪い合わねばならないのか?
なぜ、人々は互いを差別し、差別されなければならないのか。
その鋭い眼は自分自身にも向けられていく。
なぜ、自分は望まないのに年をとり、病気やけがをして死んでいかねばならないのか。
死んでいかねばならないいのちが、そもそも生まれ、生きていく意味があるのか。
苦悩を抱えたその王子の心は、
まさに真っ暗闇の中を右往左往するような不安や絶望そのものであったに違いない。
その男は、目先の快楽におぼれることなく、出家・修行をすることで、
苦悩を超えていく道、まさに光をもとめたのである。

天上天下唯我独尊 本来、どのいのちも他と比べる必要のない尊さと、
輝きをそなえている。
35歳で悟りを得たその男は、釈尊とよばれるようになり、
80歳でその生涯を閉じるまで、インド各地を歩きながら、
人生における苦悩を受け止める道・分かち合う道・乗り越える道を語り続けた。
釈尊没後、その足跡は、お経という形にまとめられ、世界各地に伝来する。

お経を受け取った私たちの先人は、そのお経を読み、それを解釈し、
さらに言葉以外の方法も用いて、より多くの人によりわかりやすく伝られないかと
工夫に工夫を重ねます。
その一つが「仏像」であり、「声明」であり、「お寺の伽藍」や「お寺の鐘」
「葬儀・法事をはじめとする仏教行事」などなど、数え上げればきりがありません。

皆さんの目の前に拡がる内陣の荘厳・お飾りは、まさに光を表したものです。
ご本尊である阿弥陀如来が光を放っているのです。
その光は、煩悩が渦巻き苦悩多い娑婆世界に生きている私たち一人一人を、
今現に照らし、見守り、導いているのです。
つまり、阿弥陀如来のご加護に遇うのは、この私が死んだ後ではなく、
生きているただいまなのです。
この内陣のお荘厳・お飾りを贅沢三昧の金箔とみるのではなく、
阿弥陀如来まします光の西方極楽浄土と受け止め、
私はその光に照らされ、導かれてこの限りのある人生を歩むことが出来るのだと、
ぜひ受けとめてください。          

*これは、2017年「MIDORIボサノバコンサート」の幕間のご法話である。
三次出身のMIDORIさんは、ボサノバ歌手としてデビューした記念として
故郷でのコンサートを開催したいという願いを持った。
会場を確保するため三次市内を回っていた時、「音楽のイベントをするお寺」という
口コミを聞いたスタッフが源光寺をたずねてこられた。
お参りで不在だった私は、その後の打ち合わせで
8月6日広島原爆忌にあわせて行いたいとの思いに、大いに賛同した。
ただ、お盆に近い日程のため、お客さんの呼びかけは自信がないことをお話しすると、
「全てこちらで準備します」との心強い返事だった。
それならと会場提供を承諾した。
例年以上の暑さを記録したあの年の8月6日、
幼い頃の記憶があるため「もっと涼しいと思っていた」とトークを混ぜながら、
MIDORIさんは汗をかきかき熱唱した。
 せっかくお寺を会場にされるのであれば、ご法話をさせていただきたい旨を申し出たが、
初めてお寺に足を運ばれた方の心にどれだけ届くご法話が出来るだろうかと、
私にとっても汗びっしょりのご縁だった。
日没を迎え本堂が薄暗くなることで、内陣の明かりが輝きを増してくる。
持ち時間5分を過ぎてはMIDORIさんに失礼になるので、
時間も気にしつつ終わった時はのどがからになっていたことを、今でも思い出す。
ご法話が終わった時、手元のストップウオッチは5分50秒だった。

■ご紹介:MIDORi HP
https://www.midori-musica.com/

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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