「お元気ですか」「はい、おかげさまで!」
日常の何気ない挨拶の一つだと思われている。
でも実は、深い意味が込められているのだ。
ゆうちゃんは、おじいちゃんの口癖である「おかげさまで」という言葉に興味を持った。
ゆうちゃんは、「だれか、人の名前なのか」と思っていたようであるが、
おじいちゃんの答えは全く違っていた。
「生かされていることへの感謝の言葉だ」と言う。
「生かされてる?」イメージができないゆうちゃんに、
おじいちゃんの問いがすばらしい。
「心臓は誰が動かしているのかの」
ここは、私自身が読みながら思わずうなってしまった。へえ~、そう来たか。
私は、今年48歳。住職を引き継いで8年目となり、
これまで以上にお寺の法務が立て込んだり、組織運営に頭を抱えることも多くなった。
思わず「お寺も定休日が作れないだろうか」などとつぶやいてみたくなるほどである。
でも、そんなつぶやきを知ってか知らずか、私の心臓は、母の体内に宿ったその時から、
一日もいや1分も休むことなく動き続けている。
そのほかの臓器もそうである。
人間が作り出したどれだけ精巧な機械であっても、
その維持には、調整や点検時には修理が必要である。
しかし、私の心臓は、一度も調整や点検・修理をせずに動いてくれている。
これは驚異的なことである。
でも、これほど驚異的なことにもかかわらず、人間はそれに気づかないというわがままな動物でもある。
おじいちゃんは、ゆうちゃんに
「人は時々生かされていることを忘れて道に行き詰まる。
そんなときは、胸に手を当てて、じっと心臓の音を聞いてみること」が大切だと教える。
ゆうちゃんは、自分やおじいちゃんのいのちの長さにも思いをめぐらせている。
「もうすぐいなくなっちゃうの?」
幼いながら、限られたいのちにふれるということは、大きな衝撃である。
でも、そのいのちを人間が好き勝手にはできない。
おじいちゃんは「おかげさまで途感謝して、精一杯大切にすることと」と丁寧に語りかける。
また、いのちは死んでおしまいではないこと。
(目には見えないけれど)新しいいのちの花を咲かせようと準備をする。
形を変えながらも関わり続けるのだと、新たないのちの姿を教えている。
何度読んでも、胸が熱くなる絵本である。
おかげさま。それは、
私の思慮分別を超えたところで多くのいのちに生かされて、
多くの人々に支えられ、仏祖の願いの中にあったこと。
そのいのちの真実に気づいた人の、感動・喜び・感謝の言葉であったのだ。
■今日の絵本:『おかげさま』 草場一寿/作 平安座資尚/絵 サンマーク出版
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3050-1
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わかりやすくお話しします。