「おかげさま」 聞いたことはあるけれど、どんな意味?

2019年12月19日

「お元気ですか」「はい、おかげさまで!」
日常の何気ない挨拶の一つだと思われている。
でも実は、深い意味が込められているのだ。

ゆうちゃんは、おじいちゃんの口癖である「おかげさまで」という言葉に興味を持った。
ゆうちゃんは、「だれか、人の名前なのか」と思っていたようであるが、
おじいちゃんの答えは全く違っていた。
「生かされていることへの感謝の言葉だ」と言う。
「生かされてる?」イメージができないゆうちゃんに、
おじいちゃんの問いがすばらしい。
「心臓は誰が動かしているのかの」
ここは、私自身が読みながら思わずうなってしまった。へえ~、そう来たか。

私は、今年48歳。住職を引き継いで8年目となり、
これまで以上にお寺の法務が立て込んだり、組織運営に頭を抱えることも多くなった。
思わず「お寺も定休日が作れないだろうか」などとつぶやいてみたくなるほどである。
でも、そんなつぶやきを知ってか知らずか、私の心臓は、母の体内に宿ったその時から、
一日もいや1分も休むことなく動き続けている。
そのほかの臓器もそうである。
人間が作り出したどれだけ精巧な機械であっても、
その維持には、調整や点検時には修理が必要である。
しかし、私の心臓は、一度も調整や点検・修理をせずに動いてくれている。
これは驚異的なことである。
でも、これほど驚異的なことにもかかわらず、人間はそれに気づかないというわがままな動物でもある。

おじいちゃんは、ゆうちゃんに
「人は時々生かされていることを忘れて道に行き詰まる。
そんなときは、胸に手を当てて、じっと心臓の音を聞いてみること」が大切だと教える。

ゆうちゃんは、自分やおじいちゃんのいのちの長さにも思いをめぐらせている。
「もうすぐいなくなっちゃうの?」
幼いながら、限られたいのちにふれるということは、大きな衝撃である。
でも、そのいのちを人間が好き勝手にはできない。
おじいちゃんは「おかげさまで途感謝して、精一杯大切にすることと」と丁寧に語りかける。

また、いのちは死んでおしまいではないこと。
(目には見えないけれど)新しいいのちの花を咲かせようと準備をする。
形を変えながらも関わり続けるのだと、新たないのちの姿を教えている。

何度読んでも、胸が熱くなる絵本である。

おかげさま。それは、
私の思慮分別を超えたところで多くのいのちに生かされて、
多くの人々に支えられ、仏祖の願いの中にあったこと。
そのいのちの真実に気づいた人の、感動・喜び・感謝の言葉であったのだ。

■今日の絵本:『おかげさま』 草場一寿/作 平安座資尚/絵 サンマーク出版
https://www.sunmark.co.jp/detail.php?csid=3050-1

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■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
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  などで、新たな出会いと学びが広がります。
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6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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