絵本から学ぶ 本当のプレゼントの形

2019年12月24日

「わあ、すごい!!」心の中で叫んだ
今から20年以上の前になる。
初めて手にした時、こんなにきれいな絵本があるのだと、驚いた。
まるで魔法を見たように、絵本のいろんなページを何度も蛍光灯の光に当てながら、
ホログラムのそれぞれの輝きの変化を見入っていた。
今でも、子どもに大人気の絵本である。

「ぼくはこんなにきれいなのに、
だれにもほめてもらえなければ何の意味があるのだろう」
自分が一番だと自らの美しさを誇り、
それを分かち合うことを知らないにじいろのさかなは、
だんだん寂しくなっていく。
しかし、そのにじうおにもちゃんと相談にのり、
アドバイスをする仲間がいたのだ。
その仲間の声を聞き、いやいやながらもきらきらうろこを分けてあげる。
すると、あおいさかなはよろこんだ。とてもとても喜んだ。
その喜ぶ姿に、にじうおは今まで感じたことのない境地を体験する。
それは、自分が一番と思い込んでいた時にはとうてい味わうことのなかった感覚であった。
その感覚に突き動かされるように、うろこを最後の一枚まで分けていく。
どんどんうれしくなっていく。そして、仲間と一緒にいるのがますます楽しくなっていく。
この変化は、聞き手の子どもだけでなく、読み手の大人も大きく心揺さぶられる。

 仏教の実践に「布施」という言葉がある。
「布施」と聞くと、檀家・門徒の方がお寺さんに渡すお金のことをまず思い浮かべるだろう。
しかし、元々はインドの言葉でダーナといい、
「執着を離れ、人に物や心を施すこと」を指す、仏教の実践の一つであった。
作者が布施という言葉そのものを知っていたかどうかは、知らない。
しかし、洋の東西を問わず「人は、ひとりでは生きていけない
(だから互いに助け合うのだよ)」といういのちの事実を
しっかり受け止めていたのだろうことは想像できる。
自分が大切にしているものを分け与えることで相手が喜び、
相手が喜ぶ姿を見て自分までうれしくなってくる。
そして、共に生きていける。
このような双方向の関わりが、本来の施しの形である。
ちなみに私たち僧侶は、檀家・門徒さんからの布施(財施)に先駆けて
、法施(=法要や読経・法話を通して、仏法を伝えること)が大前提となっている。

 今日、世間ではクリスマスイブ。
サンタさんのプレゼントを楽しみにしている子どもたちも多いようだ。
プレゼントを受け取った子どもたちの喜ぶ顔を見て、
その成長を喜ぶ親も多いことだろう。
それぞれの家族にとって、穏やかなひとときでありますように。
 
■今日の絵本:
『にじいろのさかな』マーカス/フィスター/作 谷川俊太郎/訳 講談社/発行
http://ehon.kodansha.co.jp/archives/topic_03_2.html

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:gfukuma@agate.plala.or.jp
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
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 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
 YouTube動画:NO.1 2019源光寺サマースクールの一コマ
          https://www.youtube.com/watch?v=nGl8akzD2gQ&t=48s

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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