仏教は 一人一人の人生から出来ている

2019年12月26日

 今日は、僧侶の研修。ご講師は、四国からおいでになった浅野執持さん。
自己紹介で、同じ年令と伺った。
浄土真宗の関係校で学生を教えながら、多方面で活躍されている方だ。
大いに刺激をいただいた。
特に、7年前にご自身で出版された『絵ものがたり正信偈 』に関するお話は、
胸を打つものがあった。
ご門徒さんのお葬儀をきっかけに思い立ち、2年もの歳月。
恩師である大学教授の指導はもちろんだが、
コピーライターである友人の持ちうるセンスも十分に生かした素晴らしい本である。
画期的な取り組みであると感動した私は、早速購入し
ご門徒さんの何件かで読ませていただいたことがあった。
私の思いとは違い、ご門徒さんからは「よくわかりません」という反応が帰ってきて、
ショックだったことを覚えている。
この本はやさしい言葉に訳されているので、
普段皆さんが唱えている漢文の正信偈よりは、
はるかにわかりやすいはずだと思っていたからだ。
その頃から、「わかりません」「わかりました」という一人一人のつぶやきの中身に
とても興味がわくようになった。つまり、言葉の中身にである。
 
 それは、翻って私たち僧侶のご法話にも言えることだと気づいた。
お釈迦さまや親鸞さまが遺された言葉そのままを伝えることと、
教えが伝わることがイコールにならないことがあるという点だ。
その言葉に含まれた願いや働きが伝わらないことには、
教えを伝えたことにはならないということ。

 お経の言葉一つをとっても、時代と共に手垢がつき、
次第に本来の意味がわからなくなる。
だから本当は「どのように聞いたか・聞こえたか・受けとめたか」
と聞いた人に確認をする必要があるだろうし、
その都度、言葉の本来の意味を翻訳し直す人たちが必要なのだろう。
いわば、浅野さんは、現代における「正信偈」の翻訳者であったのだ。

 今からおよそ、2500年という時代を越えて伝わってきた仏教。
それは、花粉のようにふわふわ漂って飛んできたのではなかった。
それこそ、いのちをかけて生きぬく中で、人生の問題に真剣に向き合い、
問い、出会い、伝えてきた一人一人の人生の総決算なのだ。
そのバトンを受け取った私は、さらに工夫を重ねながら、次代へ仏教を手渡していきたいと思っている。
 
 その他にも浅野さんは、学校での宗教間対話の取り組み、
一方的な話しっぱなしではない話し合い法座の導入など、様々な試行を重ねておられる。
 
 私も自分自身に置き換えながらお話をお聞きし、学び多い研修となった。
さあ、本棚に収めていた『絵ものがたり正信偈 』をこれからどのように活用していこうか?

■ご紹介:『絵ものがたり正信偈 ひかりになった王子さま』
浅野執持/作 市角壮玄/絵 法蔵館/発行
http://www.hozokanshop.com/?isbn=978-4-8318-8716-0

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:info@genkouji.com
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
 YouTube動画:NO.1 2019源光寺サマースクールの一コマ
          https://www.youtube.com/watch?v=nGl8akzD2gQ&t=48s

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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