今ここにある不思議 私の因縁生起

2020年2月16日

 私は中学生だった。学校のある授業で、「人類は万物の霊長である」という言葉を習ったことがあった。
霊長とは、「霊妙な力をそなえていて、他のかしらであること」という意味である。
先生は、その言葉を用いながら、
「地球上には様々な生き物がいるけれど、その中で人類は素晴らしい進化を遂げました。
他の動物とは異なり、2足歩行をし、道具をつくり、火を使い、様々な文明を生み出してきました。
厳しい自然環境にも順応し、現代のような住み良い世の中を作り上げましたね。
人類ほど素晴らしい生き物はいないですね」
という内容の授業をしてくださった。その時私は、「人類とはなんと素晴らしい生き物であろうか」
と素直に感動したことを覚えている。

 そして、時は経った。京都・大谷大学に入学し、仏教を本格的に学ぶようになって、
私はとんでもない思い違いをしていたことに気がついた。
 確かに、素晴らしい進化を遂げ、現代のような住み良い世の中を作り上げたことに関しては、
先生の教えてくださった通りだ。しかし、これは人類の力だけでなしえたものではなかったのだ。
そこには、人類の何十倍もの植物や動物たちのいのちの支えがあったのだ。
一握りの人類を生かすために、多くの植物や動物がそのいのちを奪われてきた真実があったのだ。
その真実に気づかされた時、人類が偉いのでも素晴らしいのでもなく、多くの生き物のお陰があって初めて、
人類が生きてゆくことができたのだと教えられた。
このことは、「人類は万物の霊長である」という人間中心の視点からは、気づくことはできないものだった。
「植物も動物もそして人類も、皆それぞれのいのちを精一杯生きているのだ」
という仏さまの教えに触れることで、人間中心のものの考え方から少し離れることができた。

 私たちは、このように多くの植物・動物や太陽や空気や水に生かされ、
両親や一生出会うこともない大勢の人々のお世話になって生かされている。
そして、私たちは、阿弥陀如来という最高の仏さまに守られている。
さらには、阿弥陀如来に救われて十方諸仏となった、たくさんの先祖に願われている。
それが、私たちのいのちの真実の姿だ。
 
 阿弥陀如来のお念仏の教えを喜ばれた榎本栄一という詩人がおられた。
榎本さんの『無辺光』という詩集の中に「いのちが光る」という一編の詩がある。
  
  いのちが光る
 ごらんなさい いのちが光る 
 お米 お魚 野菜など 
 作る人 漁る人 運ぶ人も 
 ほんに私は 十方無量の 
 御いのち 御労力にささえられ

何回読ませていただいても、読み足らない。
阿弥陀如来の教えをいただく私は、この詩に読み込まれている視点を大切にして生きていきたい。

■ご紹介「名言ナビ 名言格言辞典」榎本栄一
https://meigennavi.net/kw/e/enomoto-eiichi.htm

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:info@genkouji.com
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
 仏教童話『アマリリスのような女の子』電子書籍版(紙芝居読み語り+絵本大好き住職のご法話)
 花岡大学/作 福間玄猷/脚色・読み語り・ご法話 山崎由莉子/絵
(2月1日AmazonKindleでの一般販売スタート。購入後の閲覧には、無料のKindleアプリが必要です)

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA