気温も上がり、ぽかぽか陽気。数日おきに雨が降るため、しばらくすると境内には小さな草が生えている。
小鳥のさえずりを耳にしながら、1時間あまり境内に座り込んで草取りをした。
コロナ騒動で思いがけず時間があき、久しぶりに作業ができた。きれいになった。
その後、月参りに寄せていただいたご門徒さんの玄関口で、思わず足が止まった。
びおらだろうか?コンクリートの隙間に、かわいい花が咲いているではないか。
「どんな花が咲くのかが楽しみで、とらずに待っていたんですよ」
とご門徒さん。
同じように阿弥陀仏の無分別智に出会っている私たち(=僧侶とご門徒さん)でありながら、
草取りをして、きれいになったと自己満足していた私
花が咲くのを楽しみにしていたご門徒さん
「本来、同じいのち」とお話ししながら、無意識にいのちを分別してしまっている私なのだ。
矛盾だらけの日常を生きている私。だからこそ、阿弥陀仏の無分別智を聞き続ける必要があるのだ。
そして、ご門徒さんからも、日々いろんな事を教えてもらっている。
ちなみに、ここでは、分別(ふんべつ)と読んでいる。
大辞林(三省堂・第三版)によると、
1.物事の是非・道理を判断すること。わきまえること。また、そのような能力。
とあり、日常的に肯定的な言葉として使われているが、
元々は、仏教語であり、
2.虚妄である自他の区別を前提として思考すること。転じて、我がにとらわれた意識。
として、人間の不完全さを示した言葉であった。
私の大学時代の恩師である、小川一乗先生(大谷大学名誉教授・元大谷大学学長)は、
「人間は善悪・正邪の分別なしでは生きられないが、その分別によって人間は苦悩する。
そうした分別の本質が明らかになるとき、分別は分別のままにそれに固執しない智慧の世界が開かれる、
それを「無分別智(分別を超えた智慧)」という。
それは分別のない世界ではなく、分別の本質を知見し、分別が障りとならなくなる世界である。」
と教えてくださっている。
■ご紹介:大谷大学ホームページ「生活の中の仏教用語」
http://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq0000000q85.html
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