それぞれの現場で記録をとっておいてください。後世のために

2020年4月3日

70代のご門徒さんから手渡された1つのDVDBOX。それは、「NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか」と題された5枚組のDVDだ。

「戦争は絶対ダメだ。だからこそ、戦争を知っておかねばなりません。住職さん、ぜひ見てください!」
という声かけとともに手渡して下されなければ、私の戦争観は、教科書で学んだ通り一遍の知識のままで終わっていただろう。
そう考えると、このタイミングでこのDVDを拝見できたことは、本当に様々な縁が積み重なった奇跡だと感じた。

このNHKスペシャルは、太平洋戦争70年という節目であった2011年1月9日に、初回が地上波放送されたものである。
これまでの地道な取材によって遺された膨大な肉声証言が見つかったことで、あの悲惨な戦争に至るきっかけやその経緯が丁寧にあぶり出されている。

私はこのDVDを拝見して、こんな気づきがあった。

・政府や軍部の皆が戦争にまっしぐらだったわけではなく、ギリギリまで戦争回避を模索し、開戦後も戦争終結を模索していたこと。
・政府や軍部が、新聞やラジオというメディアを利用し、世論を操作したこと。
・国民の多くが、そのメディアに振り回されて、戦争賛美に加担したこと。
・施策は、組織の派閥意識と互いの利害損得が優先され、場当たり的なものとなっていったこと。
・いざ戦争が始まってしまうと、誰もそれをコントロールすることが出来なかったこと。
・最終的にきちんと責任を持って決断出来る人がなく、責任を負う人もいなかったこと。
・不安定な時代になると強いリーダーを熱望するが、そうして担ぎ上げられたリーダーも、世論に振り回されて、判断を誤ることがあること。
・国民を守るとか、国の将来をどうつくるなどという長期の方向性が誰も描けていなかったこと。

さて、今年は太平洋戦争75年を迎える。このNHKスペシャル本放送から5年を数える。今、私たちはあの時の反省に、どれほど学ぶことが出来ているだろうか。

同年3月に発生した東日本大震災並びに原発事故、長年の沖縄基地問題、IR誘致問題、今回の新型コロナ騒動やオリンピック開催も、
共通点を感じてしまう。それは、ただいまの政治が国民一人ひとりの現状に目を向けていないように見えること。
それぞれの施策が、為政者の利権獲得のために、進められているのではないかと見えることだ。
主権者の一人として、暗澹たる思いになる。

しかし、無関心や嘆くばかりでは、次世代がたくましく生きていく力にはなり得ない。
では、その現状を変えるには、まず何から始めたらよいだろうか。

まず、事実を記録すること。

戦争に関わった者への取材が為されていなければ、
それが証言テープに残っていなければ、
このNHKスペシャルの放送は成り立たなかった。
そうであったなら、あの戦争の本当の姿は、いつまでもわからないままで闇に葬られていたであろう。

それでなくても、人間は忘却の動物である。
また、忘却しなければ生きていけなかったと言われるほど、人生には厳しい面もある。
さらに、意図して忘却させようとする動きもある。
実際に、長期政権ゆえの気の緩みもあってか、様々な重要書類の隠蔽・改ざんがおこっており、大切ないのちまでもが失われた。
それらの検証が十分行われないうちに新型コロナ騒動が起こり、国民の関心のほとんどがそちらに移ってしまっている。

だから、なおさら記録の大切さを思うのである。

新型コロナ騒動に関して、現場の最前線でふんばっている方々の中で、どうかしっかり記録をとっておいていただきたい。
その時、その場では十分な検証をする時間はないと思われる。しかし、それらの記録は、後世の人々の宝物となるはずだ。
後世の人々がその時を冷静に検証し、少しでもより良い世の中を創造し直す際の大切な資料となり得るのだから。
今回のNHKスペシャルがそうであったように。

■ご紹介:NHKオンデマンド「NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか」
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011025978SA000/index.html?capid=TV60

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
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7.お寺でのボランティアをご紹介します。
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9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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