見えないから最後まで置き去りになるもの 「関係の喪失」

2020年4月12日

今回の新型コロナウイルスに対して、「3つの喪失」と表現した方がおられた。
その3つとは、
経済の損失
健康の損失
関係の損失
である。

 これまで災害復興支援に関わってきた者の一人として、今回の新型コロナウイルス騒動は、
これまでには見られなかった大きな課題をあると気づいた。それが、「関係の喪失」である。
私が学生時代に遭遇した阪神・淡路大震災(1995年)、大正琴の訪問演奏で駆けつけた新潟中越地震(2004年)、
住職継職法要の年に発生した東日本大震災と原発事故(2011年)、その後の熊本地震(2016年)や
西日本豪雨災害(2018年)など災害規模も発生地域も違っているが、ともに共通するのは、
多くのボランティアが各地から駆けつけ、継続的に物心両面の支援が続けられてきたことだ。
たとえ自分が被災をして生きる希望が失われたとしても、駆けつけ、声をかけ、
家財の搬出や泥の洗い出しに汗を流してくれるボランティアの姿に接して、
再び生きていこうと踏み出した方々は大勢いる。
「独りじゃない」という気づきと安心感が、立ち上がる大きな原動力となっているのだ。
その姿は、駆けつけたボランティアにとっても、大きな学びとなって生涯刻まれる。
まさに、関係(=つながり)の力だ。

では、今回の新型コロナ騒動についてはどうだろう。感染拡大を防ぐには、
ソーシャルディスタンス(社会的距離)を取ることが大前提となっている。悲しいことに、
親や祖父母が心配で帰ってきた家族から感染してしまった例や、福祉現場での介護、
医療現場での治療・看護によって感染してしまった例も数多く報告されている。
まさに、看護の原点である「手当て」が出来にくい現状になっている。
相手を案じて「お元気ですか」と声をかけることも、黙って手を握ることも出来なくなってしまった。
更に、この物理的距離は、心理的距離にも影響を与える。物理的距離と心理的距離が遠くなればなるほど、
相手を思いやることが難しくなるため、優劣・分別が生まれ、時には差別の心まで生んでしまう事があるから、要注意だ。
 
 「関係の喪失」については、見えにくく言葉にしにくいため置き去りにされがちだが、
その回復が最も大切にされなければならないと思っている。
当初は、このような時だからこそ、心の安心を提供するためにもお寺でのご法話会をなんとか開催しようと考えたり、
人数を減らした子どもの集いを模索していた時期もあった。
しかし、状況が変化するにつれて、お寺が感染場所になってはいけないと思うようになった。本当に忸怩たる思いだ。

ご本人と 周りの人をつなぐ
     支援者をつなぐ
     亡くなった人をつなぐ
     仏さまをつなぐ
     教えをつなぐ

これらは、「縁起=つながり」という道理を学ばせていただいている僧侶の、大切な役割であると思っている。
さて、「関係の喪失」の回復のために、具体的に何が出来るだろうか。長く広い視野で考え、実践していきたい。

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
浄土真宗本願寺派ホームページ:http://www.hongwanji.or.jp/
源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
仏教童話『アマリリスのような女の子』YouTube動画版(紙芝居読み語り+絵本大好き住職のご法話)
:https://www.youtube.com/watch?v=QgTJHOmzKd8&t=55s

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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