もう始まっている お米作り

2020年4月24日

 月参りで車を走らせる時、その時々の田んぼの様子がよく眺める。
新型コロナ騒動で大変なこの頃だが、農家の方々はすでに田んぼに水を張り始めた。
お米作りのための土作りが始まっているのだ。3月を思わせる気温に逆戻りしているこの数日、水もきっと冷たいだろう。
 
農家の方々は、昔のようにもうけが出なくなった今でも、
「遺してくれた先祖に申し訳ない」
「機械が壊れるまでは続けていこう」
「草を生やすよりはよいから、お米を作ろう」
「会社員として働いて得た給料をつぎ込んで(=赤字)、何とか田んぼを守っているんです」
「離れて過ごす子や孫にお米を送るために、がんばっているのです」
などと、それぞれの思いを抱えながら、田んぼに向きあっておられる。
 
「米という字は、八十八の手間をかけて作られた事に由来している」と聞いたことがある。
シーズン前の土作り・肥料散布から始まり、
苗作り・田起こし・代かき・田植え・草取り・稲刈り・乾燥・出荷となる。
これらの大まかな流れのほかにも、肥料やり・農薬散布・畦の草刈り・毎日の水の管理・イノシシなどの動物侵入の防止など、
日々の手間が欠かせない。

年配のご門徒(=檀家)さんは、「お米作りは毎年一年生だ」とつぶやく。
70才を過ぎた人生のベテランでも、お米作りは1年生?「毎年色々考えてがんばっても、
秋に必ず豊作になるとは限らない。人間の努力・工夫はわずかなもので、最後はお天道さん(天候)次第なのだ」という意味だろうか。
その謙虚さと研究熱心な姿に、心が動かされる。しかも、お米作りをする人が高齢化と共に減少している。
効率を最優先に考える現代だからなおさら、これだけ多くの手間暇がかかるお米作りに関わってくださっていることに、
あらためて頭が下がる。
 
あるお寺さまが、「お米作りが廃ると仏法も廃る」と教えてくださったことがある。
もう20年近く前のことだ。
「目に見えないお米作りのご苦労を一つ一つ想像することが出来なくなると、
仏法の奥深さや阿弥陀仏の不可思議な働きも受け止めることが出来なくなるぞ。しっかり聴聞せよ」
という誡めの言葉であったと、私は折にふれて思い出すのだ。
 
実際にお米作りをしたことはない私は、せめて、行き来する車窓から見える田んぼの変化を目に焼き付け、
農家の方々のご苦労に思いをはせている。そして、手間暇かけて食卓に届けられたお米を、心から感謝していただいている。

 最後に、紹介するのは、浄土真宗の開祖・親鸞さまが作られ、現在まで歌い継がれている「田植え歌」。
この歌は、お米作りの苦労と仏法のたしかさを込めた歌である。
これまでの人々は、この田植え歌を通して、「お米作りは、単なる労働を超えた、仏法を味わうことのできる実体験」ととらえ親鸞さまのことを偲んでこられたのだろう。

五劫思惟(ごこうしゆい)の苗代に 兆載永劫(ちょうさいようごう)の代(しろ)をして 
雑行(ぞうぎょう)自力の草をとり 一念帰命(いちねんきみょう)の種おろし 
念念相続の水流し 往生の秋になりぬれば 実りを見るこそうれしけれ

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
仏教童話『アマリリスのような女の子』YouTube動画版(紙芝居読み語り+絵本大好き住職のご法話)

YouTubeサイト「武田正文の仏心チャンネル」【,今こそ仏教】
対談:福間玄猷×武田正文さん×藤井大樹さん「仏さまからのものさし」

築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ:https://tsukijihongwanji.jp/
浄土真宗本願寺派ホームページ:http://www.hongwanji.or.jp/
源光寺樹林葬型公園墓地「びおらの丘」http://www.genkouji.com/viola.html

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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