私たちも『あわてんぼうウサギ』かもしれない

2020年7月2日

 ここに、一冊の絵本がある。『あわてんぼうウサギ』という題名だ。私は、この物語を小さい頃から何度も読んできた。
最近、本屋さんで目にし絵本をパラパラとめくってみると、かつて読んでいた内容と同じであることに気づき、懐かしくなって購入した。

 主人公はウサギ。(昨日紹介した幽霊のように)いつも未来に対して、心配や不安を抱えているウサギだ。
ある時ウサギは、大きな音を聞いたことをきっかけに世の中が壊れたと錯覚し、一目散に逃げ出した。
そのウサギの姿を見た他の動物たちも、よくわからないままついて走り出した。
あわてて駆けている動物たちの姿に気づいたライオンは、
「このまま放っておいたのでは、みんな崖から落ちて死んでしまうに違いない。今のうちに止めなければ」
と先回りをして、動物たちを助けたという物語。このライオンが、のちのお釈迦さまだとも伝えられている。
 
 大人の方にとって「絵本は子どものもの」という先入観が依然として強く、動物が出て来るこの絵本も読み語りをすることをしばらく躊躇していた。
 しかしここ最近、子どもたちも参ってくれる何件かの月参りで、この絵本を読んでみた。すると、どうだろう。
子ども以上に、大人の方の感想が多く、そして深いのだ。
「お寺さん、よくこのタイミングでこの絵本を選ばれましたね」
「この絵本は、今の新型コロナ騒動の様子を描いているようですね」
「今の私たちの姿と同じですね」
「やっぱり、物事はよく確認しなければいけませんね」
などとつぶやいてくださった。もし、この度の新型コロナ騒動がなければ、この絵本がこれだけ大人の方々の心に届くことはなかっただろう。
「単なる子ども向けの動物の絵本だ」という浅い受け止め方だけで 終わっていたかもしれない。この巡り合わせに、私自身驚いた。
 ある方は 「ライオンはいきなりウサギを叱ることなく、まず安心感を与え、一緒にその現場を見に行き、無事であることを自分で確認させ、
それをみんなにも伝えた。仕事をする上でも、新型コロナ騒動を考える上でも、大変素晴らしいリーダーのあり方を示している思った」
と、感想を述べてくださった。その方は、13年以上月参りを続けておられるご門徒であり、30代の会社社長である。
やはり、様々な現場を抱え、多くの従業員と仕事をし、いろんな立場の方と関わっておられるだけに、気づきも深い。
 
 皆さんにも、ぜひ直接手に取って読んで頂きたい。
この絵本は、2017年に出版されたものだが 、元は仏教に由来するジャータカ物語(お釈迦さまの前世の物語)に納められているものである。
つまり、この度の新型コロナ騒動で初めて出版されたものではなく、2500年以上も長きにわたり語り継がれてきたということだ。
それは、人間の抱える基本的なもの(=正しく物事が見えていない)は大きな変化がないということを示しており、
だからこそ、その人間を導く教え(=仏教)に出会うことや正しく物事を観ること(=正見)の大切さを教え続けているとも言えるのだ。

 子ども達には面白く聞いてほしいし、大人になったら私のように思い出してもらいたいと思っている。
きっとその時、子ども時代には気づかなかった様々なことに気づけるようになっているだろう。

■ご紹介:『ジャータカものがたり あわてんぼうウサギ』
バーサンスレン・ボロルマー/絵  中川素子/文
https://www.shogakukan.co.jp/books/09726707

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
源光寺樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
樹木葬型公園墓地「びおらの丘」ご紹介動画

お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber
仏教書朗読『あなたがあなたになる48章』第7章 福間玄猷YouTubeチャンネル

仏教説話『だいじょうぶだよ へいきだよ』(青少年版 メッセージ動画つき)

「明るい方へ みんなで乗り越えよう!プロジェクト」

築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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