関東大震災と九条武子さん

2020年9月1日

   見えねどもそのみすがた   きこえねどそのみこえ
   さはれ、われのみぞ知る
   不断のちかひ  不滅のひかり
   ひざまづきてもろ手あはせ  うたがはじこのよろこび
   うけますや  吾がこころの合掌

 今日は、「防災の日」(1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災にちなんだもの)。
冒頭の詩は、関東大震災の際、人々の救済に奔走された九条武子さんの詩である。
また、浄土真宗本願寺派にとっては、仏教婦人会の生みの親としてあまりに有名である。

 武子さんは、明治20年10月20日、本願寺21代門主明如上人の末娘としてお生まれになった。
時代は、明治政府の神仏分離政策によって、廃仏毀釈が非常に盛んな頃であった。
廃仏毀釈とは、仏教を排斥、教団を破壊し、お寺や仏像を焼き払うというもの。
同時に神道国教化政策が進められ、国の政治を神道に基づいて治めていこうとし、それ以外の宗教は弾圧を受けた。
残された僧侶も神道の教えを学び、それを国民に伝えることを強要されたという現在では想像もつかない厳しい時代だったようだ。 

 関東大震災当時、東京に居を構えておられた武子さんは、ご自身も被災しながら日比谷公園や上野に救護所を設け負傷者の治療に当たったり、
子ども学校・幼稚園を開催し子どもたちの教育に奔走された。
そして、その場限りの活動には終わらず、同13年女子青年会を創設し六華園園長として震災孤児の少女や若い女性を救済したり、
何とか立ち直ろうと仕事を探している女性たちに働く場(=婦人職業補導館)を与えたり、
服役を終え社会に復帰しようとする女性のためのより温かな保護施設(=両全会)を作るなど、その活動は長期・多岐にわたった。
 
 また一般にも、読売新聞婦人部顧問として宗教欄や歌壇を担当し、平易な言葉で信仰に生きる大切さを説かれた。
後にこの連載は、『無憂華』の題で出版された。
不特定多数の読者に、宗派のにおいや固ぐるしさをださずに生かされて生きていることを感じさせ、当時のベストセラーとなった。
 
 その後、武子さんは、あそか病院完成の夢見ながら、昭和3年2月7日42歳という若さで往生された。

「私たちは、常に浄化の世界にふれて、みづからの生命を健やかに高めていかなければならない。
みづからのいのちをそこに自覚するときは、人生は働くべく余儀なくされているのではなく、
むしろ働かずには居られないことに気づくであろう。
このゆえに、愉快に働くことのできる人は、それ自身、法悦の営みにめぐまれているものと云ってよい。」 『無憂華』
 
 武子さんの生涯を学ばせていただくことで、まずその行動力に頭が下がる。
同時にこれらが単なる社会福祉事業ではなく、その活動の一つひとつに浄土真宗の教えを見いだされていることに気がつく。
武子さん自らも、様々な苦悩・挫折を味わう中から、教えの確かさを感じ取っていかれ、
その味わいが人生の歩みとともに深まっていったことがうかがえるのである。

 私たちも、新型コロナ騒動を始め、各地の災害とその復興途上の今を生きている。
それらが単に挫折・苦悩として終わるのではなく、
そこから教えを見いだしていくプロセスを共に味わっていきたいと切望している。

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
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築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/
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■絵本大好き住職が出来ること。
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  として仏さまのお話しをします。
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投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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