「物語」に遇う 喜多川泰の本に耳が開かれた

2020年10月12日

1冊の本をきっかけにして、価値観が変わることがある。私は、喜多川泰先生の『「福」に憑かれた男』であった。「こはる庵」の木村先生からプレゼントされたその本によって、喜多川泰先生の存在を知った。読む度に数多くの「物語」に胸を震わせ、涙をこぼし、「もう少し生きてみよう」と力が湧いた。だから、今夏はZOOM講演会にも参加したし、サイン入りの書籍も購入した。振り返ってみれば、本当に久々に「物語」の力を感じている。
ハンディーを抱えていた分「人に追いつけ」とがんばってきた私にとって、読む本は短い時間でノウハウが吸収できる実用書が多かった。すぐわかり、即実践できる物を好んで選んでいた。確かにそのおかげで、これまで出来なかったことの一つ一つが出来るようになってきた。
ただ、一度読んでもわからない物(たとえば小説など)は、自分から進んで開くことはなかった。そして、僧侶でありながら、仏典に伝わる様々な「物語」の意味するところをなかなかくみ取れないでいたのだ。
しかし、喜多川泰先生に出会って以来、「物語」への向き合い方が変わった気がしている。まず、そのまま読めば良いのだと気づいた。そしたら、それぞれの場面がリアルに浮かんでくるようになった。登場人物と自分が重なるような感覚や、「物語」の場面が急に目の前に展開されるような感覚を覚えることが多くなってきた。これらの感覚は、喜多川泰先生の「物語」の素晴らしさによるものなのだが、この感覚が仏典に伝わる様々な「物語」を読む時にも大切なのではないかと気づいた。これまで私は、「物語」なのにもかかわらず、実用書を読むのと同じように頭で理解しようとしていたことにようやく気がついたのだ。

ご門徒さんとのやりとりでも
「お釈迦さまは実在した人ですよね。では、阿弥陀さまはどうなんですか」
という質問をたくさん受けてきた。
そのたびに
「はい、お釈迦さまは実在されました。そして、阿弥陀さまは実在されたわけではありません」と応えると、その時のご門徒さんの反応から、実在しない阿弥陀さま(=阿弥陀仏)に対する敬意が途端に薄れていくのを感じるのだった。その反応は、実は僧侶である私にとってもよくわかる反応なのだ。なぜかというと、戦後の近代教育を受けてきた私たちにとって「実証主義」は、すでに無意識になっているほど当たり前のことだからだ。その証拠に、実在したお釈迦さまのことは無条件に受け入れるが、実在しない阿弥陀仏は受け入れられないと、瞬時に判断を下してしまっている。2500年以上伝わってきた仏典といえども、事実を超えた「物語」をそのまま聞くことがそもそも難しくなっているのだ。
さあ、明日もご門徒さんへのお参りがある。一緒にお経を称えながら、その「物語」をそのまま聞かせていただこう。

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
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樹木葬型公園墓地「びおらの丘」ご紹介動画

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹木葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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