通い続けた七日参り 道中の田んぼも様変わり

2021年9月15日

7月下旬亡くなられたTさんは、80代。その奥さまは、以前からお墓の心配をしておられたようで、寺院墓地のある源光寺に葬儀依頼の電話をくださった。葬儀会館でのお通夜・お葬儀が終わり、一週間ごとの七日参りもご依頼くださった。「遠方から申し訳ありません」と毎回恐縮されたが、源光寺からおよそ30分の道中は稲の様子を垣間見られる、私にとってのちょうどよいドライブとなった。まだお仏壇をお迎えでないお宅だったが、葬儀社が浄土真宗の「三つ折り本尊」を貸し出してくれていた。なんと心配りの出来る葬儀社であろうか。私はうれしかった。

「即得往生」を特徴としている浄土真宗においての七日参りを、私は、ご遺族のグリーフケアーと仏縁の深まりを願いながら勤めさせていただいてきた。2七日に寄せていただいた時は、お母さんのことが気がかりだったこともあるのだろう、隣町に住む娘さんも駆けつけておられた。お経をお勤めしたあと、「何か聞いてみたいこと、気になっていることがありますか?」と奥さまにお尋ねすると、お墓やお仏壇、ご法事のことなど矢継ぎ早に質問された。「娘に心配をかけないように」「地域の人に尋ねてもそれぞれ答えが違うので、何が正しいかわからない」「今まで主人をたよりに生きてきたのに、これから一人で生きていけるだろうか」などなど、きっといろんな不安を一人で抱えておられたのだろう。「これから、一週間ごとお参りをさせていただきますので、あわてず一つ一つ解決していきましょう」と、まずお声かけをした。「いろんな心配が湧いてきた時には、メモ用紙に書き出してみてください。さらに、相談する相手も振り分けてみましょう。その中で、これはお寺さんに尋ねようと悩み事の仕分けが出来ると、ちょっと気持ちが楽になりますよ」とも付け加えてみた。ある時は、避難指示が出るほどの豪雨に見舞われ、七日参りが取りやめになったこともあったが、それ以外は毎週通わせていただくことができた。次第に、奥さまの表情が柔らかく明るくなってこられるのが伺えた。「はじめは頭の中が一杯でパニックでしたが、一週間ごとに一つひとつ相談し解決することが出来て、だいぶ見通しが立つようになりました。おかげで、お仏壇も迎えられて、お墓のことも決められて、満中陰のご法事も安心して迎えられるようになりました」

満中陰では、隣町の娘さんご家族が駆けつけ、さらに外国に住む娘さんご家族ともグループラインをつないで、画面越しにご法事を勤めてくださった。そちらのご主人は外国籍の方なので、ご法話をどうしようかと考えた。私の言葉を娘さんが逐一通訳なさるのかと尋ねてみたら、「これを録画をしていますから、あとからそれを一緒に見ながら通訳します」とのこと。「へえ~!!グループLINEは録画も出来るのですね」と私。では、あとから通訳がしやすいようにご法話も一工夫。難しい専門用語を避けながら満中陰というご法事の意味をお話しした後、子どもたちにも思い出に残るようにと、絵本を読ませていただいた。隣町の娘さんは、お仏壇やお父さんの遺影を交互にアップにしたり、絵本に切り替えたりとカメラワークに一生懸命。「ほんとに便利な時代になりましたね。娘が外国に行ってしまった時はとてもさみしい思いがしましたが、今日こうして一緒にご法事に参加できるようになるなんて!」と喜ぶお母さん。「ご法事の意味が初めてわかりました。絵本もとてもよかったです」と、涙声になりながらお話しくださった外国の娘さんたち。「ありがとう!」と、外国生まれのお孫さん。

その後、源光寺の墓地で再び集合。無事に納骨も済ますことができた。この日までT家を5回ほど往復したことになる。その道中の様子は次第に秋の装いとなり、稲刈りが済んだ田んぼもちらほら。季節の移ろいや奥さまとの語らいをふり返りながら、改めて七日参りの大切さを味わったご縁だった。

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/
源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
【はじめての浄土真宗】「正信念仏偈」現代語訳を聞くhttps://www.youtube.com/watch?v=XHidnswZxQM
樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
絵本のお坊さん-福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber
かけあい法話「朝のあいさつはなあに?」 https://www.youtube.com/watch?v=9liD3K_o9Rg
『みちしるべ 八正道シリーズ 正念 正しい念い』
華を飾る道にも さとりのことばがある

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹木葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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