喪失体験が本当の仏縁になるには?

2021年11月30日


80代のご門徒さんが亡くなられた。葬儀会館からの連絡で、ご自宅へ臨終勤行を参らせていただいた。長い間、関西で生活をされていたご夫婦。ご主人の定年を機に、ご親戚のおられる三次に戻られ、居を構えられた。源光寺のご門徒になられたのは、数年前。入退院を繰り返しておられたご主人のことが心配で、いざという時のために源光寺に墓地を求めなさったのがきっかけ。

遺された奥さまと数少ないご親戚が自宅に集い、お通夜・お葬儀をお勤めになった。続いて、七日参りのご縁も頂いた。読経・ご法話に続いて、お茶をいただきながら生前のいろんなお話を聞かせていただいた。時には、体を震わせて涙を流し、ご自身の後悔の思いを吐露された。うなずきながら聞かせていただくが、その憔悴ぶりが心配になり次の七日参りまでの間、気になって仕方がなかった。「なにもわかりませんから、教えてください」ともおっしゃるので、基本的な仏事作法を何度かに分けてお伝えすることもあった。「こんな話まで聞いていただき、有り難うございました」その七日参りは、1時間を越えることもあった。

そして、満中陰と納骨。納骨後、「ようやく、これでホッとしました」と笑顔を見せてくださった。私自身も安心したと同時に、これからが本当の仏縁になるとの思いから、「これからのお参りは、どうなさいますか?1周忌や3回忌まで月参りをしてくださいとおっしゃるお宅もありますが。ご希望であれば参らせていただきます」とお話ししたら、「よくわかりませんので、また電話をします」とおっしゃった。それからもう2ヶ月。ご当家から月参りのご要望は、ない。

死者儀礼にとどまっている仏教の姿を、「葬式仏教」と批判する方々は多い。お通夜・お葬儀の場では、「今まではご無沙汰していましたが、これからはお寺にも参らせていただきます」との言葉も、よく聞く。しかし、現実には、お通夜・お葬儀やご法事以外の仏縁が皆無であるご家庭が、圧倒的に多い。先ほどのお宅と同じように。「お寺での聴聞(=法話会)を通して、阿弥陀如来の願いに出会っていただきたい」と願っている私としては、「やはり先祖供養という役割しか求められていないのか」と、もどかしい思いである。

大切な方との別れ(=喪失体験)が本当の仏縁(=阿弥陀如来の願いに出会う)へ昇華されるには、私たち僧侶・住職にはどんな工夫が必要なのだろうか?
(写真は、法話会にお招きを受けてご法話中の私)

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
【はじめての浄土真宗】「正信念仏偈」現代語訳を聞くhttps://www.youtube.com/watch?v=XHidnswZxQM
樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
絵本のお坊さん-福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber
『新々みちしるべ 菩薩シリーズ』教化-弥勒菩薩 智慧は愚かな暗い心を明らかにする https://www.youtube.com/watch?v=jzDJ_qnrVU0
2021三好春樹さん公開講演会-後半 https://www.youtube.com/watch?v=1EfSKRhaGNw
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹木葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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