認知症について語り学ぶ勉強会 「本人が安心できる環境作りを」

2022年4月21日

昔から、お寺は地域の中心だったと聞いています。ところが最近は、担う分野が専門化・細分化されて、残されたお寺の役割はお葬式やご法事くらいだと捉えている人たちもいるようです。

地域に支えられて来た源光寺が仏さまの教えをお伝えするだけでなく、「地域一人ひとりのために何が出来るだろうか?」と、重ねてきた実践の一つが認知症に関わる学びと相談の場の提供です。4月16日がその1回目で、13人が参加してくださいました。

講師である植さんのお話は、私自身、多くの気づきがありました。例えば、認知症の中核症状と周辺症状を分けて考えること。中核症状そのものは薬でも治すことは出来ないこと。本人を取り巻く環境を整えることで、周辺症状(幻覚・妄想抑うつ・意欲低下・徘徊・興奮など)の緩和をすることが出来るとのことでした。ここにこそ、本人の近くで共に生活を重ねてきた家族や地域の一人としての役割があるのではないかと思いました。周辺症状を和らげるための良い環境とは、ずばり「本人が安心する環境」だそうです。その点からも、本人への声かけ・言葉かけは大切だと思いました。事実のみを伝えて説得しようとしたり、本人の感情を否定する声かけは、控えた方が良いようです。本人が納得できる言葉かけや関わり方の工夫が必要だと学びました。それは、認知症の方に対してだけではなく、本来、人との関係はそうでありたいなとも思いました。

植さんが関わってこられた方とのエピソードも加えて、理論と実践の両方からのお話だったので、とてもよく理解することが出来ました。さらに、植さんの温かな人となりがにじみ出る、ほのぼのとした時間になりました。私も、植さんのようなまなざしで関わってくれる人たちと一緒に年を重ねたいと思いました。

只今、国の施策変更によって、介護施設の多くは、予算削減・省力化・効率化・IT化が進められています。介護職員が直接関わる部分を減らし、ロボットや各種センサー・カメラで入居者の見守りをしようとしています。そのような中でも、植さんご自身は、「自分が年を重ねた時に世話になりたいと思える施設を創る」とお話しされ、実際に新しい施設開設のための準備で毎日駆け回っていらっしゃるそうです。

6月には、具体的な接し方についてのいろんな話が聞けることでしょう。今からとても楽しみです。
今後の予定
6月18日(土) 「認知症の人の具体的な接し方」
8月20日(土) 「こうだったらいいな!これからの介護」
各回13:30~15:00(個別相談も可)
勉強会の内容の一部は、後日「絵本のお坊さん-福間玄猷YouTube」で配信する予定です。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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