「かわいそうな」お菓子!?

2022年5月30日

親戚のご法事をお勤めされた三次市内のお宅。喪主は、福岡在住の方でした。「本当はお参りをしたかったけれど、体調が優れません」とのご連絡の後、宅配で荷物が届けられたそうです。
「住職さんにもよろしくお伝えくださいとのことでした」との言付けと共に、手渡された菓子折がありました。お寺に帰りお供えの後、阿弥陀さまのお下がりとして開けさせていただきました。

なんとそこには、懐かしい「ひよこまんじゅう」の詰め合わせがありました。
なぜ懐かしいかというと、私の実の両親は福岡県が出身だからです。さらに、母方の祖父母は、福岡市内のお寺の住職・坊守でした。あの戦争の空襲で福岡市内が甚大な被害を受け、本堂も焼失したと聞きました。ですから、私が知っている本堂は鉄筋コンクリート造りで、床にはタイルが敷いてあり椅子式という斬新なたたずまいでした。戦後の激動の中にあっても、祖父母は、お寺で聖歌隊を結成するなどを伝道一筋に生きた方だったようです。

私も幼い頃は、夏休みなどに帰省をして、かわいがっていただいた思い出があります。「ひよこまんじゅう」は、その福岡のお寺で食べたり、祖父母が大阪へ送ってくださる荷物の中に入っていたこともあり、それらの思い出がよみがえったからでした。

この「ひよこまんじゅう」はかわいい反面、少しかわいそうな気持ちも湧くお菓子なのです。単なるお菓子と思えば良いのですが、その形や目から「ひよこ」を連想してしまいますので、「食べていいのか?」「どこから食べようか?」などと思わず問いがうかんでしまうお菓子なのです。
でも、食べたら、昔懐かしい味でした。Mさん、有り難うございました。

あなたは、食べる時に思わず躊躇してしまう「かわいそうな」お菓子がありますか?

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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