どくだみとお寺

2022年6月23日

雨に誘われて、築山の草がいつの間にかよく伸びていました。膝をつき、草取りを約2時間。夕ご飯近くになり、そろそろ切り上げようと思っていた時、プンと独特な香りがしました。思わず香りがする方を見てみると、どくだみの花が咲いているのに気づきました。草取りをしているわけだから、どくだみもとってしまえば良いのですが、それは残しました。

私には、このどくだみに幼い頃の思い出があるのです。大阪にいた頃の話。夏になると我が家では、麦茶の代わりにどくだみ茶を飲んでいたのでした。家の周辺に生えているどくだみを母が集めてきて乾燥させ、お茶にしてくれていたのです。多くの方にとっては「臭い」と思われているどくだみですが、私にはこの匂いがなんとも懐かしく思われてなりません。

面白いですね。同じものを見てもそれに関する思い出の有る無しによって、その受け止め方は一人ひとり違うようです。今回のどくだみも、思い出がない人にとって単なる雑草だから、簡単に抜かれてしまうでしょう。思い出がある人にとっては、大切にしたいという心が自ずと湧いてくるでしょう。

草取りから帰りながら、ふと、お寺の今後が重なりました。現代において、お寺に思い出を持っている人はいったい何人いらっしゃるだろうか。そして、激動の世にあってもお寺を大切にしたい、残して欲しいと思ってくださる方は何人いらっしゃるでしょうか。

夏休みの「源光寺サマースクール」は、毎日50名近くの子どもたちが集い、7日間(午前中)の開催で20年以上続いてきました。しかし、新型コロナ騒動によって様々な配慮が必要となりました。昨年はたった2日間、人数も20人程度に制限しての開催となりました。今年は、どのような形が可能でしょうか?今を生きる一人ひとりにとって、お寺が大切な思い出の場となるようこれからも試行錯誤を続けていきます。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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