先日、庄原市介護支援専門員連絡協議会さまの研修会にお招きいただきました。
講題は、「大人のあなたにこそ絵本を ~大切な人生の予習と復習~」としました。
日々利用者の方々やそのご家族に寄り添い、心を砕いておられるケアマネージャーの皆さま。そのお仕事は、少子・高齢社会の真っ只中にある私たちにとって、なくてはならない本当に尊いものです。しかし、その一方で、支援する側である皆さまご自身が、常に緊張を強いられ、時にはご自身の感情や生活を後回しにされているのではないか、と感じることがありました。
そこで、次のような仮説と主題を立てて、研修会の内容を組み立ててみました。
1.自分のことを大切にいたわることが出来ると、日頃の緊張が解かれて、自分に優しくなれる?
2.グリーフのことを知ることで、人生の予習と復習がスムーズになる?
3.様々な感情を少しでも分かち合うことが出来れば、独りじゃなかったと知って、お互いに勇気を分かち合える?
研修会の主題は「支援者への支援」とし、皆さんには「利用者・職場・家族のことを横に置いてください。あなた自身を一番大切にして、参加してください。」と研修会冒頭にお声かけから始めたのです。
今回の研修では、だれもが人生で経験する様々な「喪失」と、それに伴う心の動き(悲嘆のプロセス)について、ご一緒に考える時間を持たせていただきました。私の一方的な押しつけにならないよう、問いかけや参加者同士のつぶやきの時間も大切にしました。研修の終わりには、絵本『LIFE』(くすのきしげのり/作 松本春野/絵 瑞雲舎/発行)の読み語りをしました。
研修の締めくくりで、「今日の仮説はどの程度成立すると思いますか?」という問いかけに、ほとんどの方が「成り立つ」と手を挙げてくださり、私が一番ホッとした瞬間でした。
研修会後回収されたアンケートには、
「仕事、子育て、家事と毎日追われていて時々気持ちがしんどくなることもあります。自分と向き合うことは短時間でも必要だし、今回の研修は少しホッとする時間にもなりました。 絵本も家に沢山あります。また好きだった本を読んでみます。ありがとうございました。」
「忙しいと思う時こそ、自分と向き合う時間が必要だと実感しました。支援者が元気じゃないと良い支援はできない。まさにその通りと思いました」
「私はご利用者への支援をすることが自分の役割だと思ってやってきました。しかし、支援をきっかけに支援方法を学ばせてもらっていること、自分が老いた時にどう行動すべきかを教わっていたという視点が欠けていたことに気付かされました。これからどう生きていくか学ばせてもらった研修会でした。ありがとうございました。」
など、たくさんの感想が寄せられました。
皆さまがご自身の日常と重ね合わせ、大切に聞いてくださった様子が伝わってきて、私自身も胸が熱くなりました。
支援する方々が、まずご自身の心を大切にし、時には立ち止まって自分自身をいたわる時間を持つこと。そして、仲間と感情を分かち合い、独りではないと知ること。それが結果として、より温かく質の高い支援に繋がっていくのではないかと考える一人です。実は、「大人のあなたにこそ絵本を」という講題には、そんな願いも込めているのです。絵本の世界は、私たち大人にとっても、忘れていた感情に触れたり、新しい視点や気づきを得たりする、貴重な「人生の予習と復習」の場となりえると思うからです。
およそ10年ぶりのご縁がつながり、今回の研修会となりました。私自身、とても学びの多いひとときをいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
源光寺では、このように「絵本の読み語りを通した人生のふり返り」や「グリーフケア」に関するお話や研修会のご依頼も、随時お受けしております。ご興味のある方は、お気軽にお声かけくださいね。