あなたの思い出の絵本は? 私の一押しの絵本をラジオで

2025年1月27日

■ご紹介:『Life』くすのき しげのり/著 松本 春野/絵 瑞雲舎/発行
https://zuiunsya.com/works/archives/49

私の別名は、「絵本のお坊さん」です。と言っても絵本を書く才能はなく、もっぱら読む専門です。地元の小学校での読み聞かせだけでなく、ご法事や研修会・法話会などで大人の方にも読ませていただいています。

「絵本は子どものもの」という先入観がまだ根強いようですが、私はそうは思いません。実際に、大人の方との読み聞かせを勧めているグループがいくつもあります。岡田達信さんが代表をされている「絵本セラピスト協会」もその一つで、私もこの協会の「大人に絵本を広め隊」の一人でもあります。

私は、読み聞かせ活動を続ける中で、子どもと大人では、絵本との向き合い方に違う点があると気づきました。子どもは、絵本を通して人生の疑似体験が始まります。「これからこんなことがあるんだな」「こんな気持ちになるんだな」などと、これから起こりうるであろう様々なことを思い浮かべるのです。一方、大人は、絵本を通して人生の振り返りが始まります。絵本の登場人物に自分や家族を重ねながら、「あ、こんなことがあったな」「同じような気持ちだったな」「あの時の思い出には、こんな背景があったかもな」などと、まるでタイムマシーンに乗ったように時間や空間を飛び越えることが出来ます。読み聞かせを聞いているわずか10分ほどの間に、聞き手それぞれの人生ドラマが再現されるのです。実際に、絵本を聞いた大人の方からは、以下のような感想も頂いています。

絵本から、大切な人物を失った時の空いた気持ちは、周りの人との関わりによって埋まるものだと考えた。/今後の学生生活や人生において、子供の頃忘れていた絵本への気持ちを改めて感じることができた。大人になって聞くと、子供の頃の気持ちとは違う別の視点で考えることができた。/幼い頃、大人に絵本の読み聞かせをしてもらっていたが、本日久しぶりに絵本の読み聞かせがあり、大きく物事の捉え方が変わったと実感した。それはこれまでに経験したことや気づいたことによって考え方が広がったのかもしれない。私も子どもに絵本を読み聞かせをする機会が来た時は、一緒になって楽しく読みたいと感じた。/絵本の朗読の際、幼い頃の記憶を思い出し懐かしい気持ちになりました。/1つの絵本でいろんな学びを得ることができた。本の内容一つ一つが面白く、それぞれ感想を持っていた。

私の最近一押しの絵本は、『LIFE』です。この絵本の出会いは、絵本セラピストのお一人である、おくだかずみさんが結んでくださいました。おくださんが仕掛け人となって、昨年9月に開催された絵本トークショー。会場となった啓文社(福山市緑町)においでになったのが瑞雲舎社長・井上みほ子さんでした。絵本出版を巡る裏話や子育てに関わるお話、そして6冊ほどの絵本の読み聞かせがありました。いつもは読み手である私も、この時は聞き手としてどっぷり絵本の世界に浸ることが出来ました。まさにタイムマシーンに乗って自分の歩みを振り返り、涙と笑いのひとときでした。読み聞かせてくださった絵本は直ちに購入して、以来いろんな場で読ませていただいています。

来週には、福山市エリアで放送される「レディオビンゴ」内の番組「お坊さんステーション」(提供:本願寺備後教区)の収録があります。若手僧侶が当番制で担当しているもので、もう10年以上続く番組です。3月10日と17日の放送分を収録します。今回は、出版社の許諾をいただき、私が最近一押しの絵本『LIFE』を朗読させていただくことになっています。

 

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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