プロの技でよみがえった階段と広縁 頂く意見で改善重ねる

2025年2月19日

お寺の住職は、日頃の月参り・ご法事・お葬儀だけではなく、仏教婦人会など教化団体の運営、地元寺院との連携、上部組織への参画など、一般の方々からは見えにくい仕事がたくさんあります。その中には、本堂などの伽藍整備というのも含まれます。私が住職継職をさせていただく際に、参拝者用トイレの増設のほか、庫裏台所や広縁の改修を手がけました。それからもう14年経っていますので、また気になる箇所が増えてきました。加えて、昨年末の仏婦本部役員会で廊下スロープについてのご意見が出たことを受けて、今回改修をすることとしました。
継職当時、「車椅子の方でも本堂と庫裏の行き来がしやすいように」との役員さんのご意見を受けてスロープを増設しました。車椅子ではない方々も、「階段より上がり下りが楽でいいですね」と喜んでくださっていたのですが、最近では「勾配が急なスロープでは足下が滑って危ない」という意見が増えました。年月が経過する中でお参りくださる方の年齢が上がり、体力・筋力にも変化が出て来たのだと気がつきました。ですから、急勾配のスロープを撤去し、段差の低い階段に付け替えてもらうことにしたのです。
年明けに地元の工務店さんに相談し、現場を見てもらいました。材料が準備された後、2月に入って工事開始となりました。時折雪が降る中、職人さんは朝早くから丁寧な仕事をしてくださいました。適宜、現場の確認や打ち合わせも重ねました。その仕事ぶりに感銘を受けた私は、あわせて広縁の塗り替えもお願いすることとしました。お寺の広縁は、日頃から紫外線があたり、夏には雨が冬には雪が降り込む過酷な状況です。ですから、塗装はもちろん木材の劣化が進みやすい箇所なのです。工務店さんに相談すると、「およそ10年が塗り替えの時期です」とも教えてくださったので、木材の劣化をこれ以上進行させないためにも、塗り替えをお願いすることにしたのです。
無事に改修が終わった階段を上がり下りしながら、「これで皆さんにもお参りいただきやすくなったかな」「もっと早くプロに相談しておけば良かったな」と思いました。代々受け継いできた伽藍なので、これからも適宜修繕を加えながら大切に護っていきたいと思っています。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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