ジャガイモの栄養素から学ぶ、感情を細分化する試み

2025年3月12日


最近の料理番組では、レシピや作り方だけでなく、食材に含まれる栄養素とその効能が必ず紹介されますね。糖質、食物繊維、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、鉄、銅。これらは、皮付きで生の状態のジャガイモに含まれる栄養素です。料理番組を見ながら、この【細分化】という方法を日々の生活に応用出来るのではないかと思いました。

私たちは何気ない日々の中で、様々な感情を経験します。その感情は、例えば喜怒哀楽という言葉で表現されます。

昨日は、東日本大震災から14年目を迎えました。3月11日が近づくにつれて、多くの方があの日のことを思い出し、様々な感情に突き動かされたことでしょう。まるで「あの日」にタイムスリップしたかのように感情が大きく揺さぶられ、今もなお、つらい気持ちを抱えている方もいるはずです。

反対に、感情が動かされることを避け、あえて別のことに意識を向けた人もいるでしょう。シャットダウンして、考えないようにした人もいるかもしれません。一人ひとり、「あの日」との向き合い方は様々です。

今日は、新しい提案として、この先を読み進めてみてください。食材の栄養素に注目するように、自分の感情もさらに細分化してみたらどうでしょうか?

たとえば、「悲しい」という感情についても、「あの日」と14年経った今とでは、その色合いや手触り、そして深さには、きっと何らかの違いがあるでしょう。丁寧に、注意深く細分化して見つめてみると、「あの日」と全く同じ、ということはないだろうと思います。諸行無常の世の中ですから、「悲しい」もまた、常に変化しています。

「悲しい」「悲しいけれど…」「悲しいからこそ」「悲しみの中にも」… 0と1の間にも無数の数があるように、14年という年月の中でわずかでも変化が見いだせるなら、それは、あなたがその年月を生きてきた確かな証を見いだせたとも言えますね。

ある時期は、自分の気持ちに蓋をしたり、ごまかしたり、目を背けたりしたこともあったでしょう。「あの日」の大きなショックから自分を守るために、それは、時に必要なことでもあります。

その時期が過ぎ、自分の感情の変化に気づき、新たな行動や出会いが生まれているとするなら、それはとても素晴らしいことです。到底立ち上がることが出来ないと思われた「あの日」の悲しみからも、何かを学ぶことが出来たとするなら、「あの日」の出来事も、いつか人生の大切な宝物と言える日が来るでしょう。

「あの時の悲しみや苦しみがあったからこそ、今の私がある」

この言葉は、震災経験の方をはじめ、大きな病気やけが、人生の壁にぶつかりながらも必死に人生を歩み続けた方の言葉として、これまでにも数多く耳にしてきました。

この言葉は、本能的に「除災招福」を願う人間の意識をグンと掘り下げ、一見災いと見えたものからも大切なことを学び取る人生の奥深さを感じることが出来て、私自身も大いに励まされるのです。

「あの日」から今日までに、あなたに生まれた新たな行動や出会いはどのようなものですか?

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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