「今こそ、勇気を!」大切な悩みを打ち明けてくれた太郎君へ

2025年6月18日

その後、元気にしてるかな?この前は、大切な悩み事を相談に来てくれて有り難う。太郎君の勇気に、げんさんの胸も震えました。あの日からしばらく時が経ちました。テレビのニュースを通して、世界のいろんな場所で戦争が起きているのを見て、太郎君も不安になったり、心配したりしているんじゃないかなと思って、この手紙を書いています。でも、安心してほしいんだ。大人のみんなも同じように心配しているけれど、こんな時だからこそ、私たちがどんな勇気を持てるか一緒に考えてみたいのです。

実はね、昔、ヴィクトール・フランクルというお医者さんがいたんだ。この人は、ユダヤ人だったから、とても辛い強制収容所に入れられて、毎日が地獄のような体験をしたんだよ。お父さんやお母さん、奥さんとも離れ離れになって、みんな亡くなってしまったんだ。普通だったら、もう「どうしようもない」「終わりだ」って思ってしまうよね。でもね、フランクル先生は、そんな中でも「それでも人生にイエスと言う」という考え方を見つけたんだ。これはね、「どんなに辛いことがあっても、人生はやっぱり素晴らしいって思えるんだよ」ってことなんだ。つまり、自分で「どうする?」と決める小さな自由は、どんな時でも自分の中にあるんだって教えてくれたんだ。

太郎君も、学校で嫌なことがあったり、友達とケンカしたり、テストでいい点数が取れなくてがっかりしたりすることもあるかもしれない。世界で起きている大きなニュースも、なんだか怖いし、自分には何もできないって感じてしまうこともあるかもしれないね。でも、フランクル先生の考え方から、太郎君にもできる勇気の出し方があるんだよ。

太郎君にできる勇気のこと

1. 「自分は何を求められているんだろう?」と考えてみよう!
フランクル先生は、「私たちは人生から何を期待するか」じゃなくて、「人生が私たちに何を期待しているか」を考えることが大切だと言ったんだ。これは、例えば「自分は何が欲しいか」ばかり考えるんじゃなくて、「自分は誰かのために何ができるかな?」とか「この世界を少しでも良くするために、自分にできることは何だろう?」って考えることなんだ。そうすると、不安な気持ちばかりじゃなくて、「よし、やってみよう!」という気持ちが生まれてくるはずだよ。

2. 「今、この瞬間」を大切にしよう!
フランクル先生は、人生を「砂時計」に例えたんだ。砂時計の砂は、一つ一つ落ちていくよね。今、落ちている一粒の砂が「今この瞬間」を表しているんだ。そして、下に落ちた砂は、もう戻らないけれど、永遠にそこに残るんだって。だから、太郎君が「今、この瞬間に何をするか」が、とても大切なんだ。例えば、困っている友達に優しく声をかけること、一生懸命勉強すること、家族のお手伝いをすること、どんな小さなことでも、それが「今」の太郎君の「決断」になって、ずっと残るんだよ。その一つ一つの決断が、太郎君の未来を、そして周りの世界を形作っていくんだ。

3. 「平和は自分の手の中にある」と信じよう!
フランクル先生のお弟子さんで、エリザベート・ルーカスさんという方がいるんだけど、その人は「平和は自分の手の中にある」って言っているんだ。世界中の大きな戦争をすぐに止めることは難しいかもしれない。でもね、まずは太郎君の身近な場所から平和を作ることができるんだ。例えば、お家で家族と仲良くすること、学校で友達とケンカになった時に、自分が先に「ごめんね」って言ってみること。
ルーカス先生はね、こんな例を話してくれたんだ。プールで、すごい勢いで泳ぐ人がいて、周りの人に水しぶきがかかって困っていたとするよね。普通だったら「ちょっと!やめてよ!」って怒っちゃうかもしれない。でも、ルーカス先生は、「あなた、とっても上手に速く泳ぎますね!すごいですね!」って言ってみたんだって。そしたら、その人はニコッと笑って、次からは周りに気を遣って泳いでくれたんだって。
ね?これってすごいことだよね!「誰が最初に怒らせたか」を考えるんじゃなくて、「どうしたらこの争いを終わらせられるか」を考えるのが、本当の勇気なんだ。そして、それは相手と同じようにやり返さないことなんだよ。

4. 「ほんの1ミリでも良い方向に」変えられると信じよう!
私たち一人ひとりが、自分の身の回りで、こんな小さな「平和を作る行動」をすること。それが広がっていけば、世界全体も「ほんの1ミリでも良い方向」に進んでいくんだって。たとえ小さいことでも、太郎君の行動が、世界を少しずつ変えていく力になるんだよ。

太郎君の中には、必ず素晴らしい力と勇気が眠っているよ。不安な気持ちになった時は、この手紙のことを思い出して、深呼吸してみてほしい。そして、「今、自分にできる小さな勇気は何だろう?」って考えてみてごらん。きっと、心の中に温かい光が見つかるはずだよ。

げんさんも同じ気持ちで、今を生きています。そして、いつでも太郎君を応援しているからね。

また会えるといいね。太郎君へ。

げんさんより

(もし、あなたに大切な次世代がいるなら、この手紙をシェアしてあげてください。そして、「あなたは独りじゃないよ!」と伝えてあげてください。)

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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