子どもたちに教わる大切なこと 『バスがきましたよ』

2025年6月27日

毎月1回(月末の木曜日)は、地域の健康サロンに招かれて絵本の読み語りをしています。

今回の絵本は、『バスがきましたよ』由美村嬉々/文 松本春野/絵 アリス館/発行 です。既に、小学校の読み聞かせはもちろん、老人保健施設での法話会などでも読ませていただきました。

物語は、「網膜色素変性症」により次第に視力が衰えていく中、バス通勤を続けた主人公と、その通勤を支え続けた地域の子どもたちの関わりを描いたものです。バス停で「バスがきましたよ」と優しく声をかけたり、乗り降りの階段では身体を支えたり、本人に代わって降車ボタンを押すなど、「さきちゃん」のさりげない関わりに、胸がほっこりする絵本です。しかも、主人公の通勤を支える関わりが他の子どもたちにも引き継がれ、10年も続いたことに私は驚きました。しかも、この物語は和歌山での実話なのだそうです。2022年に出版された絵本のあとがきに記されており、さらに驚いたのでした。

私たちは、昨今の世情を憂い、「誰を信じたらいいのか」「何を信じたらいいのか」などと、様々な不安や不信を抱えてしまっています。そんな大人たちに、この子どもたちは大切なことを教えてくれていると感じました。さらに、仏教における「施し」という言葉を思い出させてくれました。お金やものではない「無財の七施」に紹介されている和顔施・言辞施を思い浮かべたのでした。

この絵本の読み語りを聞いてくださった方からは、
「今、社会の中では、見て見ぬふり知って知らんふりが多いけれど、この実話は私の胸にズキンときました。ついわすれていた大切なことを思い出させてくれました」
「最初に声をかけたさきちゃんが一番すごいけれど、それを引き継いだ子どもたちもすごいね」
「さきちゃんのご両親も、素晴らしいね」
などと、感動の声が聞かれました。

普段は、子どもたちの世話をし、いろんなことを教えているつもりの私たちですが、本当は子どもたちからいろんなことを教えてもらっている私たちなのですね。

(もし、絵本の読み語りを聞いてみたい、日常の自分をふりかえってみたいと感じられた方には、以下のリンクから、リザストでのオンラインでのセッションをご用意しております。お気軽にお声かけくださいね。
https://www.reservestock.jp/pc_reserves_v2/courses/43862

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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