「今世の中はどんどん理不尽なことがまかり通る時代になっています。
でもだからこそ、ラグビーというスポーツが必要なんじゃないでしょうか。
ノーサイドという精神は日本だけでしか通用しない日本ラグビーのおとぎ話かもしれない。
でも、今この世界だからこそ必要なんだと私は思います。」
9月15日(日)最終回を迎えたTBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』。
珍しく毎週視聴したドラマだった。冒頭の言葉は、最終回の本当に最後の台詞だった。
このドラマを締めくくるには最も大切な言葉だった。
それは、私を勇気づける言葉となった。胸にグッと熱いものがこみ上げた。
このドラマは、まさに今の日本を象徴する出来事が満載だった。
私ならすぐに心折れるだろうと思うまさかの出来事の連続、
一人ではいかんともしがたいほどの大きな困難が続き、
しかも家庭ではツンデレの奥さん。
組織という見えない制約の中で踏ん張っている、全国のサラリーマンの強さをあらためて感じた。
そして、昨日はラグビーワールドカップ2019の試合があった。
日本が勝った。きっと、昨日の試合と『ノーサイド・ゲーム』を重ね合わせて観戦した人は多いだろう。
深呼吸をして、人間の歩みを振り返ったならば、そこに共通点が見えてくる。
人間の欲望には限りがない。そして時に暴走する。
その暴走を人間自身が止められなくなり、数えられない苦しみや悩み・悲しみが生まれる。
その苦しみや悩み・悲しみを我が事と受け止めた人々の中に現状に対する深い問いが生まれ、
いのちの原点に立ち返る歩みが再び始められる。
人間は、太古の昔からこのような繰り返しを重ねてきたのだろう。
この繰り返しの一部分を切り取ってしまうと、苦しみや悩み・悲しみのみに意識が執着し、
不安や心配が増大し、生まれてきた意味や生きている意味を喪失してしまうことになるだろう。
しかし、深呼吸をして見直してみると、
苦しみや悩み・悲しみは深い問いが生まれる大切な機会と受け止めることが出来る。
言葉をかえたなら、これらは紙の裏表だったということだ。
苦しみや悩み・悲しみと夢や希望は、切り離せない大切なものだったのだ。
浄土真宗を開いた親鸞というお坊さまは、
如来の作願(さがん)をたづぬれば
苦悩の有情(うじょう)をすてずして
回向(えこう)を首(しゅ)としたまひて
大悲心をば成就(じょうじゅ)せり
(阿弥陀仏が願いを起こしたのは、苦悩の真っ只中にある私を放ってはおけないからだったのです。
さらに、私の苦悩に寄り添い、その苦悩を抜き取るためだったのです。
阿弥陀仏の願いは「あなたを見捨てる事が出来ない」という、私に向けて建てられた願いなのです。)
という言葉で、苦しみや悩み・悲しみを抱えている私の姿と、
その私を導いてくださる働きを教えてくださっていた。
「このような世の中だからこそ、仏さまの教えを聞き続けることが大切なのだ」
あらためて、私の原点に気づかせてくれたドラマ『ノーサイド・ゲーム』にお礼が言いたい。
そして私も、苦しみや悩み・悲しみを抱えながら、阿弥陀仏や親鸞さまのお言葉に力をもらって生きていこう。
■ご紹介:
TBSテレビ 「日曜劇場 ノーサイド・ゲーム」
https://www.tbs.co.jp/noside_game_tbs/
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