ご主人を急な病で亡くされた70代のご門徒さん。
1周忌の後も、毎月、月忌参りに寄せていただいています。
僧侶である私を必要としていただけることは、本当に有り難いです。
お勤め前には、毎回手作りの軽食をご用意くださいます。
毎回メニューが代わり、それぞれに手を掛けて下さっています。
(この軽食が楽しみと言ったら、怒られるでしょうか?)
その軽食を頂戴しながら、お互いに一ヶ月の近況報告。
開口一番「今回のうんちの話はよかった!」
毎月『御堂さん』(浄土真宗本願寺派津村別院発行/大阪市)に挟んで配っている「住職雑感」のことでした。
私「まあ、大切に読んでくださっているのですね」
Mさん「そうですよ。年を取るとなおさら、あたりまえのことが有り難く感じるのです」
続いて、
Mさん「先月聞いた絵本がとてもよかったです。だから、あの後にあった地域の健康サロンで、絵本のことを話してあげたのです。みんな喜んで聞いてくれました。そして、あの猫のようになれたらいいね、と感想が出たのです。せっかくのサロンですから、人の噂話をするような時間ではなく、みんなが楽しく過ごせるように色々考えているのです。だから、本でも読んであげたいなあと思ったんです。今日、広島に出かけてきたのですが、本屋さんによって買ってきたのがこの本です。懐かしい物語がたくさん載っていますので、一話ずつ覚えて皆さんにお話しできるようになりたいです」
私「Mさん、そんなに喜んでいただいて、有り難うございます。私も、うれしいです。絵本は、子どものものと思われていますが、それぞれ人生経験を重ねてこられた大人の人なら、絵本をより深く味わってもらえると思っています。いつもこうしておもてなしをしていただくので、今度は、私からあの絵本をプレゼントさせてください!そして、Mさんが健康サロンの皆さんに読んであげてください。あ、これが今日買われた本ですね。いろいろ懐かしい物語がありますね。では、お参りの後に、一話読ませてもらいましょうね」
2月の月参りでしたから、お釈迦さまの涅槃会にちなんで読ませてもらおうと持参していた絵本は、そっと脇に置いて、Mさんの買われた本から、「みにくいアヒルの子」を読ませていただきました。
Mさんと娘さん(=実は看護師さん)が、「やあ、いいお話ですね!!」としみじみつぶやいておられました。
私自身も読みながら、新たな発見がありました。
さあ、お寺に帰ったら、あの絵本を注文しよう。
ご紹介:『ねこの看護師 ラディ』 (講談社の創作絵本)