お盆が近づくため、日がようやく陰る夕方、
「樹林型公園墓地びおらの丘」へあがる参道の法面におい茂った葛(=かずら)の清掃をした。
参道の幅はやっと車1台分。
草刈り機で刈った葛を何カ所かにまとめて火をつける準備をしていたら、なんと1台の高級車が上がってきた。
参道においている葛を踏みながら、なおも上がろうとする。
近づいていく作業着の私を見て、その運転手はどこかの清掃員とでも思ったのだろう。
窓ガラスも下ろさず、「なぜ邪魔をするんだ、通せ!」といわんばかりに目力で訴えてくる。
「すいません!」と大声で言うと渋々窓ガラスを下ろす。
「ここの住職なんですけど」
運転手は「あっ!」という顔をした。
「今草刈りをしていて、これから火をつけるんです。
せっかくの車が傷ついてはいけませんから、一旦下まで下がって、もう少し先の入り口から上がっていただけますか」
と説明すると、素直に応じてくれた。
「人を外見で判断してはならない」と教わってきたが、
この作業着を見て、住職と判断できる人はいないだろうと、自分を振り返った。
考えてみたら、私も無意識に人を外見(服装・表情・しぐさなど)で判断・評価している。
それはある意味、生きていく知恵とも言える。
その人と自分の距離感を瞬時に判断し、自分を守るための知恵である。
しかし、その判断・評価はある部分では自分を守ることに役に立つが、同時に自分を惑わすことにもなる。
その人への正しい判断・評価=正見とは限らないということを常に頭に入れておく必要がある。
こんな面もあったかと、相手に対する判断・評価はいつも更新をする柔軟性を持っておきたい。
ちなみに、清掃をしている1時間程度の短い時間に、10台近い車がびおらの丘に上がっていった。
お盆当日でもない普通日にはめったにない車の多さにびっくりし、
上がっていく車の1台に「今日は、どなたかのお参りですか?」と尋ねたら、
「いや、ポケモンです!」
ガク!
まだ、ポケモンをやっているのか!
じゃあ、あのいかついおじさんもポケモン目当てだったのか?
クスッ。
いやいや、外見で判断してはなりませんね!!
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