源光寺でも月に数件、月参りのご依頼を受けています。ご一緒に「正信念仏偈」を称え、短いご法話をさせていただき、お茶を頂戴しながらの近況報告。1件あたり、およそ一時間。
お寺でのご法話と違って、長く専門的なお話は敬遠されることが多いです。かといって世間話で終わるのも、いかがなものかと考えてしまいます。ですから、短い時間でも仏教にかかわるお話が出来ないかと、いつもアンテナを張っています。
今月は4月ですから、仏教の開祖・お釈迦さまに関連する話題を思い浮かべていたところ、コロナ以前に買い求めていた紙芝居があることを思い出しました。以前、お寺の研修で寄せていただいた山口別院で購入したものでした。この紙芝居は、お寺の幼稚園や保育所に通う子どもたちを対象に制作されたものですから、月参りに使うのは少し難しさを感じてそのままにしていたものでした。今回は思い切って、紙芝居に入る前のまくらや途中に補足を入れながら読んでみました。
紙芝居を読んだ後には、思い出したことや感じていることなどを聞かせていただきました。そうすると、私の知らないその家族や地域の昔話、幼い頃のお寺での思い出などを聞かせていただくことができました。また、長年抱いていた素朴な疑問が解決したりと、その時ならではの語らいの場となりました。こちらが一方的にお話をして終わるより、はるかに豊かで思い出深い時間となりました。まさに、今ここに共にいるあなたと私という関係性の中で、紙芝居が呼び水となってそれぞれの人生や仏縁を振り返る時間が創られたのです。それは、お互いが苦しみ悩み多い人生を精一杯生きてきた証でもあるなあと、愛おしささえ感じました。月参りという仏縁を通して、お互いの人生を尊びながら語らいが出来るのは、まさに智慧と慈悲を具えた阿弥陀如来の働きのお陰さまと、慶んでいます。