中秋の名月、あなたの地域ではきれいな月が見えただろうか。
そして、月にはどんな動物が見えただろうか。「動物なんているはずがない!」と言う人は多いだろう。
小さい頃から「お月さまにはウサギがいる」と聞いてきた私だが、
中学校での天体の授業で、あれはクレーターだと学んだ
(正確には、構成する岩石の違いで明暗それぞれの模様が出来て、ウサギのように見えているだけ)。
それ以来、「月のうさぎ」の話にはふたをしてしまっていた。
それが、仏教や浄土真宗・心理学など様々な学びを重ねていく中で、
「月のうさぎ」の話の大切さをあらためて感じるようになったのである。
どうやら人間は、目の前の事実だけを受け止めて生きているのではない。
目の前の事実を超えて、だれが、いつ、どこで、どのように、どのような内容で、
その事実をだれに伝えたかという物語(ストーリー)全体を受け止めて生きてきた動物なのだ。
なぜ、事実を超えた物語が意味を持つかというと、ひとつひとつの物語には先人からの願い込められているからだ。
後世の者が先人の願いに気づいた時、その物語自体が、
どんな苦難の人生でもしっかりと生き抜くことが出来る力となるのだ。
お月さまにウサギがいるという物語は、元をたどると古くインドまでさかのぼる。
それは、仏教の開祖・お釈迦さまに基づいたものである。
お釈迦さまという方は、この世にお生まれになる前(=前世)はこのような存在だったということが、
前世物語(=ジャータカ物語)としてたくさん伝えられている。
そのジャータカ物語の一つが、「月のうさぎ」と呼ばれている。
この物語に出てくる老人は、実はお釈迦さまの化身であり、
動物たちがどれほど純粋な心・施しの心を持っているかを探りに来たという筋書きになっている。
老人のために何も食べ物を探すことが出来なかったウサギが、
自分の身を火に投げて老人にささげようとした物語。
その純粋な心を讃えてウサギを月に連れて帰ったことから、
お月さまにはウサギが見えるようになったとのこと。
この物語には、「お月様のウサギを見るたびに、純粋な施しの心を思い出してほしい」
という先人の願いが込められていたのだ。
源光寺では、お寺の子ども会の群読発表や大晦日除夜の集いのパネルシアターに、
この物語を度々取り上げてきた。
今日は、「NHKのチコちゃんに叱られる!」で取り上げられていたので、
思わずうれしくなって、このブログにも取り上げた次第である。
■本日の絵本:
『月のうさぎ』瀬戸内 寂聴/文 岡村 好文/絵 講談社/発行
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000199377
■絵本のお坊さん問い合わせ先
名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
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■絵本のお坊さんが出来ること。
絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、仏さまの教えをお話しします。
悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会などで、
新たな出会いと学びが広がります。
お寺でのボランティアをご紹介します。