言葉や教えが伝わる前提は? 情報の送り手と受け手がやり取りする関係性

2019年9月17日

 このブログで、「視聴覚伝道の試みを重ねてきた」と自分のがんばりを述べてきた。
しかし、ここ最近、「これは自己満足なのではないか」と感じる瞬間もあり、
実は試行錯誤の連続だった。
もちろん、出講前日までは精一杯準備をするのであるが、一旦作り上げてしまうとそこで安心してしまう自分がいた。
さらに、法話の最中に急に変更をすることが出来ず、準備してきたものに縛られてしまうことを何度か経験したのだ。
 
 そんな時、あるお寺で研修講師を担当した。研修会テーマは「ご法事」。
一切パワーポイントを使わず、参加者への「そもそもご法事の目的とは?」という問いかけから始め、
皆さんの率直な意見や答えに、私自身驚いたりうなずいたりしながら、
何とか最後のまとめの法話までつなぐことが出来た。まさに生放送。
ドキドキハラハラしっぱなしだったため、仏教・浄土真宗との関連について十分まとめきれなかった。
落ち込んでいたら、「今日のが一番よかった!」とご住職。
「ご門徒さんの反応がとてもよく、福間君自身もイキイキしていた」。
このご住職は、以前にパワポを使ったご法話も聞いてくださっている方だ。
今回はご門徒さんにとって身近なテーマだったこともあったのだろうが、
「パワーポイントに縛られていた自分」に気づいたのだ。
それ以来、(パワポの有無に関わらず)一方通行の法話は極力控えて、
その日その時に参詣された方々との関係性を出来るだけ大切にしたいと心がけるようになった。
 
 昨日の視聴覚伝道研究会(大阪・津村別院)では、私がトップバッターだった。
なんと、小学校3年生の男の子が、お母さんと参ってくれているではないか。
(しかも、法座日程の最後まで。私は感激した)
とてもうれしくなった私は名前と学年を直接お尋ねし、この場に参ってくれたことを褒め称え、
みんなで拍手を送った。
持参していた銅鏡をその子に見せて、
私「これは何でしょう?」
男の子「わかりません」
私「では、助け船を出してあげてください。わかる人はいますか?」
大人「銅鏡です」
私「大正解!皆で拍手」
 「でも鏡なのに、顔が写りませんね。どうしてでしょう。」
大人「わかりません」
私「(銅で出来ているので)磨かねば映らないのが、昔の鏡なのです。」
とかけ合いをし、
「お経は私の心や生き様を映す鏡なのです。
顔や姿を映す鏡が、毎日の生活になくてはならないように、
お経は自分の心や生き様を振り返るうえで大切なものです」と述べ、
人間の実相を表している仏教説話『黒白二鼠』紙芝居へとつなげた。
 
 法話終了後、公開シンポジウムとして、出講者・参詣者・コメンテーターが
それぞれ気づきや感想を述べる時間を持った。
コメンテーターの猪瀬優理さん(龍谷大学准教授)からは、
「鏡の問いかけなど参詣者とのインタラクティブなやりとりがおもしろかった。
ただ、鏡の必要性はわかったが、磨くということの意味がわからなかった」と
講評をいただいた。
 また、参詣者のお一人からは、「視聴覚伝道というが、
視覚に障害を抱えている人々へはどのような関わりを持っているのか」
というご意見を頂き、研究会としても今後の大切な検討課題とさせていただくこととなった。
(後日、本願寺社会部に確認のうえ、お尋ねいただいた方には
(ほんのわずかだが)点訳書籍が発行されているとをご紹介させていただいた。)

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          https://www.youtube.com/watch?v=nGl8akzD2gQ&t=48s

■絵本のお坊さんが出来ること。
絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、仏さまの教えをお話しします。
悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会などで、
                  新たな出会いと学びが広がります。
お寺でのボランティアをご紹介します。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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