幼稚園のお念珠を持ったひ孫 合掌の姿がかわいい

2021年7月13日

数日前のこと。三次で亡くなられた90代のご門徒さんのお通夜・お葬式。梅雨で大雨が続く中、広島市内から息子さんや娘さん、孫さんや曾孫さんが駆けつけた。その年代からご想像いただけるように、先の戦争の苦難・困難をくぐり抜けて来られたお一人だ。お元気な頃は月参りを重ねさせていただき、お勤め後にはお茶を頂きながらいろんな苦労話を聞かせていただいたものだ。若い頃は、広島市内で看護師をされていたそうだ。次第に戦争が激化するため、娘の身を案じた父親から強引に県北の実家に連れ戻された。当時は父親にひどく反発し、後ろ髪を引かれる思いでしぶしぶ帰ってきた数日後、広島での原爆投下。「もし、あの時父が連れ戻していなければ、私はあの原爆で命を落としていたでしょう」と語ってくださったことがある。おかげで直接の被爆はなかったが、数日後に救護のために広島市内に入ったため、残留していた放射能の影響を受ける「入市被爆者」になってしまった。その後、三次市内でも指折りの書店のご主人と結婚され、各学校に教科書を卸すなど長年夫婦でよく働かれた。ご主人が病気になられた際も、自宅で介護をしながら店番を続けた。「若い頃の看護師の経験が、役に立っています」ともお聞きしたことがある。晩年は、施設で療養をされることになったため、娘さんたちが広島市内から週に1度駆けつけて、お母さんの代わりに本の配達を続けておられるとも聞いた。

お通夜の晩は、どのお宅でも思い出話を聞かせてもらうことにしている。いろんな話の中でも、特に印象深かったのは、お母さんの卵焼き。「とても美味しかった。今でも母の味は出せないんです」と娘さん。さらに、夏休みになると毎年必ず三次に帰っていたというお孫さん。「1度も怒られることがなかったんです。とても、優しいおばあちゃんでした」涙を浮かべてお話しくださる。そんなやり取りを小学生と中学生の曾孫がじっと聞いている。家族の思い出話を聞くことで、ひいばあちゃんの(間接的ではあるが)思い出がこうして増えていくのだ。それらの思い出は、今後の人生の大きな支えや導きとなっていく、と私は確信している。

還骨・初七日の際、曾孫が持っていたお念珠が気になった。「ちょっと見せてね」と手に取ると、そのお念珠にはリボンがついていて、名前も書いてあった。「これ、どこでもらったお念珠?」と聞くと、「幼稚園」と答えた。「(ひょっとすると)お寺の幼稚園ですか」「はい、そうです」と答えて、広島市内のお寺さまが運営されている幼稚園の名前を教えてくれた。そこで、私はこの2日間の曾孫のふるまいに合点がいったのだ。「梅雨の土砂降りの中、わざわざ一時間半近くかけてお通夜に参加してくれたのは、なぜだろう」「こんなに自然に合掌が出来るのは、なぜだろう」「平日だから学校もあっただろうに、お葬儀に参列したのは、なぜだろう」「なぜ、こんなに食い入るように絵本やご法話を聞いてくれるのか」そうだ。曾孫の彼らには、私に出会う前から豊かな仏縁が整えられていたのだ。還骨・初七日が終わり彼らをお見送りする際、ご両親に「幼稚園の園長先生に、仏縁を整えてくださって有り難うございました、とお礼を言っておいてくださいね」と声をかけたほどである。

これから、彼らは、ひいばあちゃんとの思い出や豊かな仏縁に支えられ導かれて、たくましくしなやかに人生を歩んでいけることだろう。私も、(勝手に)彼らの応援団の一人だと思っている。

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
仏教説話『だいじょうぶだよ へいきだよ』(英語版)
https://www.youtube.com/watch?v=oaltcYtm0lE
『みちしるべ 八正道シリーズ 正思惟 正しい考え方』実るほど頭の下がる稲穂かな

築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
【はじめての浄土真宗】「正信念仏偈」現代語訳を聞くhttps://www.youtube.com/watch?v=XHidnswZxQM
樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
絵本のお坊さん-福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber
かけあい法話「お釈迦さまってどんな人?」https://www.youtube.com/watch?v=8O7dlG1I1sM

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹木葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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