
日々の暮らしの中で、「あれ? 前はもっと便利だったのにな」と感じることはありませんか?
例えば、銀行の窓口での本人確認が以前より厳しくなったり、ATMでの1日の引き出し限度額が下がっていたり。よく使っていたATMで、いつの間にか小銭の入出金ができなくなっていた、なんてこともありますね。
これらの変化には、特殊詐欺などの事件の増加といった背景があり、被害を防ぐための金融機関の懸命な対策の一つだと理解しています。必要な対策であることは承知の上で、不便さを感じてしまう私がいます。
ふと考えるのです。もし、私たち一人ひとりが少しでもお互いを思いやり、良心に従って行動できる社会であったなら、ここまで厳格な対策は必要なかったかもしれない、と。この不便さを仕方ないこと、と受け流すのではなく、私たち自身の生き方、心のあり方を見つめ直す大切な「きっかけ」と捉えてみたいのです。
仏教では、「縁起(えんぎ)」という大切な教えを伝えてきました。すべての物事は互いに関係しあい、影響しあって成り立っている、ということです。つまり、私たち一人ひとりの小さな行いや心の持ちようが、巡り巡って地域や社会に良くも悪くも影響を与えているということ。だから、法律や制度以前の「心がけ」として、互いを信頼し、尊重し、良心に基づいて行動してきたことをもう一度思い起こしたいのです。一人ひとりの積み重ねが、地域の安心やお互いの信頼関係を育てる土台になっていたことを思い出したいのです。
そう考えると、現代社会における仏教やお寺の役割も拡がってくるように思います。例えば、法話などを通して、仏さまから頂く慈悲にふれ、人間本来の不完全さを分かち合うこと。だからこそ、お互いを敬い合って日々を重ねる大切さを知ること。また、お寺を、世代を超えた人々が安心して集い語り合える「居場所」として提供し、信頼できるつながりを育むお手伝いをすること。さらには、「自利利他(自他の本当の幸せを願う)」の心について共に考え、学ぶ場を提供すること。
これらは、社会の現状を急激に変えるものではないかもしれません。しかし、私たち一人ひとりの心を少しでも安定させ、より良い「心がけ」を育む一助にはなると考えます。その一つひとつの積み重ねが、皆が安心して暮らせる地域の再構築につながっていくでしょう。
あなたは、最近の社会の変化をどのように感じておられますか?
そして、より良い地域となるために、どんなことを実践したいと考えておられますか?
大切な方と語り合うことから、まずはじめてみませんか?