*ご法事の目的はなんでしょうか?

2019年8月31日

 

 今日は、三原市大和町のデイサービスへよせていただいた。
参加された世代は、70~90代の皆さま。既に様々な人生経験を重ねてこられた大先輩。
若輩者のお話を聞いて頂けること自体、本当はあり得ないこと。
しかし、「ご法話を聴聞させて頂く」という仏縁の中で、そのあり得ないことがあり得ている。
 
 「ご法事の目的」という講題で約90分のご法話。
「ご法事の目的はなんでしょうか?」とお尋ねをしてみる。
「何を今さら!」と怒られそうだが、「NHKのチコちゃん」を先に紹介しているから、
大先輩もなんとか言葉をつぶやいてくださる。多く返ってくる言葉は、「故人を偲ぶ」というもの。
「では、故人を偲ぶとは、具体的に何をどうすることですか」
と尋ねると、言葉が返ってくるまでにはしばらく時間がかかる。そして、
「故人を思い出すこと」。
一方通行が苦手な私のご法話のスタイルは、このようなキャッチボールである。
つまり、お尋ねをして返ってきた言葉は、私自身の学びとなり、
その蓄積は、全て私のビックデータとなるのだ。だから、思いがけない言葉も、楽しい。
そしてさらに、投げかける。
「もし故人を偲ぶことで、ご法事の目的が完成するのであれば、その場にお坊さんは必要でしょうか?」
「いらないかもしれませんね」
「あ、やっぱりですか」
「ではなぜ、今までお仏壇の前に集まり、僧侶を招き、お経を唱えてきたんでしょうか?」

さて、ご法事の目的を「3つの遇う」にまとめてみた。
1.故人に遇う-故人を偲ぶ(思い出を持ち寄り、語り、聞き合う)-人生の予習とふりかえりができる
2.私のいのちに遇うー故人の死に立ち会うことで、私自身のいのち(生老病死)に目を向け、問いを持つ
3.仏法に遇う-生死の苦悩の解決を、仏法(=お経)に聞き、(お経の教えているところを)お坊さんに尋ねる

さらに、お経の成り立ちにふれるため、平山郁夫先生の絵をご覧いただきながら、お釈迦さまの入滅・涅槃の場面を紹介した。
締めくくりには、絵本『いのちの木』を読み語り。(この本は、私がお通夜・ご法事の場で読み語りをする1冊である。)

北海道から入寺されたご住職が、ご家族や地域の方と力を合わせて運営されている寄り合い場「ぴっぱら」。
地道な取り組みが、もう7年を数えているそうだ。皆さまのご尽力には、本当に頭が下がる。
 地元の野菜が持ち寄られ、心のこもった手作りの昼食。
長雨がようやくあがり、さわやかな秋風の吹く中、大先輩方の楽しげな語らい。
それをそばで見ながら、こんな穏やかなひとときが、どうか長く続きますようにと願わずにおれなかった。
 
 帰り際、
「また来てくださいね!」
と大先輩から手を振られ、孫のようにうれしくなった。
「いつでも、よんでくださいね!!」

■本日の絵本

『いのちの木』 作・絵/ブリッタ・テッケントラップ 訳/森山 京  発行/ポプラ社
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2730037.html

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:gfukuma@agate.plala.or.jp
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/

■絵本のお坊さんが出来ること。
絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、仏さまの教えをお話しします。
悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会などで、                  新たな出会いと学びが広がります。
お寺でのボランティアをご紹介します。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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