「千の風」がグリーフケアを学ぶきっかけ

2020年1月27日

 「私のお墓の前で泣かないでください」
 阪神・淡路大震災後の2003年、
新井満さんの「千の風になって」を初めて聴いた時、その歌詞に衝撃を受けた。
それまで日常会話の中で口にするべきでないとされていた、
「死」というテーマを正面から歌いあげたものであった。
「この歌が世の中にどのように広がっていくのだろうか」
強い関心を持っていた。 
 
 2006年に秋川雅史さんが歌いついだことで、
爆発的なヒットとなったのはあまりにも有名である。
私は、僧侶として大きなショックを受けていた。
多くの人々が、大切な方との死別やその後の苦悩を誰にも語れず、
心の中に封印していたこと。
恐れやたたりという形ではない、先祖とのつながりを強く欲していること。
何よりも私自身が、お通夜・お葬儀・ご法事という「死」に立ち会う役割をいただきながら、
目の前の人々の苦悩に十分寄り添えていなかったのではないかと気づいたからだ。
 
 現代社会において、死は完全な終わりであり、敗北であると受けとめている人は多い。
だから、死に目を向ける恐怖は、著しく大きなものがある。
死は、「縁起でもない」ものであり、学ぶものは何もない。
「亡くなった人のことは忘れて、私らが楽しく過ごしたらええんや」
という遺族の言葉や昨今の健康ブームからも伺えるように、
死の事実を出来るだけ先延ばしにして、それにつながる老・病も
日常生活から遠ざけようとしている。
しかし、遠ざけようとしても逃れることの出来ない根本の問題だから、
漠然とした不安が常に心身を襲う。
その不安を、占い・墓相や家相などによって何とかなだめながら生きる人々や、
反対に先祖の霊魂に対するたたり・さわりとことさら取り上げて、不安をあおる人々も多くいる。
 
 私自身は、浄土真宗寺院に生まれ、成長する過程で仏教・浄土真宗を学んだ。
さらに、僧侶となり、お葬儀やご法事・月参りなどを通して、ご遺族と関わり続けてきた。
その積み重ねの中で、老・病・死はいのちの真実の姿であり、あたりまえのことである。
死は、完全な終わりでもなく、敗北でもない。死は、つらく悲しいことであるけれども、
同時に、死の事実に向き合うことでしか得られないもの
-いのちの尊さ・生きることの厳しさと素晴らしさ・深い感謝や和解・真実への気づき
などがあることも体験してきた。
 
 「千の風になって」の大ヒットに、ショックを受けた私は、
2009年・2013年の2回にわたって、東京での日本グリーフケア協会の認定講座を受講した。
看護師・介護士・葬儀関係者にまじって、
死別を経験された人々の苦悩やその後のプロセス、周囲の人々の関わり方などを学ぶことが出来た。
そして、自ら学んだ仏教を伝えようとする前に、
まず、目の前の人の苦悩やこれまでの日々に耳(そして心)を傾ける姿勢がなければならなかったのだ、
と気づいた。
 それ以来、「どのような思い出がありますか?」と尋ねながら、
その人と時間・空間・仏縁を共有している。仏教やグリーフケアの学びを心に置きながら、
明日への一歩を歩みだそうとするその人と共にいる。
そして、その人の「あの悲しみがあったからこそ・・・」という言葉に、共にうなずいている。
 
 今日も、お若い方のご法事をお勤めした。これからの長いご縁の始まりだ。

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:info@genkouji.com
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
 『アマリリスのような女の子』電子書籍版購入サイト:

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA