お念仏は 最高のアンガーマネジメント

2020年3月28日

お寺で悩み事相談を受けていると、それぞれにいろんなドラマがあるなあと実感する。
その悩み事は、本人の中に原因がある(=いわゆる自己責任)という単純なものでなく、
本人を取り巻く家族や様々な人間関係が起因しているものであり、今回の新型コロナ騒動のように、
それぞれの社会情勢や時代背景が影響しているものも少なくない。
だから、それぞれの悩み事は奥が深いし、複雑なものだ。
少々の時間お話を聞いたくらいで、問題がすっかり解決することはあり得ない。

では、お寺での悩み事相談は、いったい何が出来るだろうか。
「ご本人が安心して話ができる場所の提供」
「分別なく話を聞こうとする住職とのつながりを提供する」
「話すことでご本人が心の整理を始め、今自分にできることを考え始める時間を提供する」

でも、私自身、相談に来られた方に常に関わり続けることは不可能である。
相談に来る事が出来ない日であっても、なんとか折り合いをつけながら生きていってほしいと思っている。

ほかに僧侶として提供できるものはないだろうか。
こんなことを考えるうちに、これまでお参りで出会ってきた年配のご門徒さんの話がよみがえってきたのだ。
「私は、よくお仏壇の前に座り、お念仏を称えながら愚痴をこぼしていました」
「亡くなった主人の写真の前で、今日の報告をするんです」
「涙をこぼせるのは、お墓参りの時だけです」
そうか、人生には誰にも言えない苦しみ・悲しみがあるんだ。
本当ならば、身近な家族・夫婦・親子ですべてをさらけ出し、語り合い、許し合って生きていけたらいいけれど、
実際は身近な関係になればなるほど利害・損得・甘え・わがまま・これまでのいきさつが邪魔をして、本当の言葉は口に出来ない。
わかり合いたい人ほど、わかり合えない。
そんな時、昔の人は、お仏壇の前に座り、お墓に参り、先祖の写真の前で、愚痴をこぼし、涙を流し、怒りを吐露していたのだ。
そうして、しばらく時が経つ中で、他人や外ばかり向いていた目が、少し自分にも向いてきて、
「まあ、もうちょっと生きてみるか」とまた娑婆に立ち戻る。そんな繰り返しを重ねてきたのだろう。

今、ビジネス界では、「アンガーマネージメント=怒りのコントロール」が注目されている。

「怒りは衝動的に出現しがちだが、この衝動性をコントロールすることでストレスを避けることが可能となる。
怒りが生じた時、そのピークは6秒だと言われている。この6秒を過ぎると、怒りの衝動性は収まってくる。
しかし、怒りを感じた時に6秒待つということは、とても難しいこと。
その6秒をやり過ごす方法として、怒りの内容を紙に書き出したり、深呼吸をして心を落ち着かせたり、その場を一旦離れるなどもおすすめ。」

 私は、あるアイデアがひらめいた。試しに、浄土真宗の作法で合掌・礼拝をし、称えているお念仏の時間を計ってみた。
私の場合、およそ10秒だった。
「これは、応用できる!」
浄土真宗では、お念仏を阿弥陀仏の智慧と慈悲の象徴と受け止めている。
つまり、単なる記号・呪文・まじないではなく、私が抱く怒りも不安も迷いも悲しみもすべて転じて、
私を真実に導く働きそのものとして受け止めている。自分が称えた(つもりの)お念仏は、自分の耳に届いた時、
阿弥陀仏からの「あなたは、ひとりぼっちではない」「私が導くから、大丈夫だ」という呼びかけになって、心に刻まれるのだ。

今度から、新しい提案を加えてみよう。「怒りが生まれたら、心の中でお念仏を称えてみるのはいかがですか?」

■ご紹介:アンガーマネジメントの意味とは?
診断方法・怒るのタイプと沈め方を紹介(精神保健福祉士・社会福祉士 久木田みすづ/著)
https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2017/12/post-38.html

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:info@genkouji.com
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
 仏教童話『アマリリスのような女の子』YouTube動画版(紙芝居読み語り+絵本大好き住職のご法話):https://www.youtube.com/watch?v=QgTJHOmzKd8&t=55s
 
■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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