変化するって自然なことだと聞いて すこし安心しました

2020年6月6日

 変化するって自然なことだと聞いて フレディはすこし安心しました。枝にはもう ダニエルしか残っていません。
「この木も死ぬの?」
「いつかは死ぬさ。でも“いのち”は永遠に生きているのだよ。」とダニエルは答えました。

 葉っぱも死ぬ 木も死ぬ。そうなると 春に生まれて冬に死んでしまうフレディの一生には どういう意味があるというのでしょう。
「ねえ ダニエル。ぼくは生まれてきてよかったのだろうか。」とフレディはたずねました。
ダニエルは深くうなずきました。
「ぼくらは春から冬までの間 ほんとうによく働いたし よく遊んだね。まわりには月や太陽や星がいた。雨や風もいた。
人間に木かげを作ったり 秋には鮮やかに紅葉してみんなの目を楽しませたりもしたよね。それはどんなに 楽しかったことだろう。
それはどんなに 幸せだったことだろう。

 その日の夕暮れ 金色の光の中を ダニエルは枝をはなれていきました。
「さようなら フレディ。」
 ダニエルは満足そうなほほえみを浮かべ ゆっくり 静かに いなくなりました。
 
 フレディは ひとりになりました

***
 今日も冒頭に、『葉っぱのフレディ』の一節を紹介した。
 あなたは、この一節をすんなり読めただろうか。私は言葉に出来ないモヤモヤが晴れるまで、しばらく年月が必要だった。
そのモヤモヤをなんとか言葉にすると、「葉っぱや木は死ぬのに、いのちは永遠に生きている」ということは矛盾しないか?というものだ。
どうやら、『葉っぱのフレディ』で示している「いのち」とは、個別の葉っぱや木のいのちを指しているのではなく、
個別の葉っぱや木を含むあらゆるものを生かそうと、この世界に満ち満ちている自然の営みそのものを指しているのではないかと気づいたのである。
「大いなるいのち」と表現することも出来るだろう。
 
 普段の私たちは、例えば福間玄猷という一人の人間としての視点からしか、他のいのちや存在を見ることが出来ない。
しかもその視点は、常に自己中心的であるから、他のいのちや存在に対して、優劣・分別をつけてしまう。
時には、差別の気持ちさえ生まれてしまう。しかも、自身が積み上げてきたものに執着するため、自らの老・病・死についてはことさら忌避してしまう。
(この度の新型コロナ騒動は、その典型である。)
 
 しかし、この一節を何度も何度も身体に通した時、そもそも私たちは、
「大いなるいのちから生み出され、また、大いなるいのちに還っていくのだ」という新たな視点が与えられる。
皆さまの中には、このことを直感的に感じ取れる人もいるだろう。数々の経典から学び取った先人もたくさんいる。
私の場合は、この『葉っぱのフレディ』からようやくくみ取ることが出来た。それから、「死ぬ」ことの不安が和らいだことを覚えている。
 さらに一節は、死ぬことは生きてきた歩みの否定ではないとも、教えている。
たとえ、死ぬとしても、生まれてきた意味や生きてきた歩みは確かにあり、
実際に多くのつながりの中で楽しみや喜びを感じながら、幸せな日々だったと振り返っている。
 フレディやダニエルのやりとりを通して、知らない間に人生のリハーサルをしている自分に気がついた。

今日の締めくくりに、編集者からのメッセージをご紹介する。(明日は『葉っぱのフレディ』最終回)

編集者からのメッセージ
 この絵本を 自分の力で「考える」ことをはじめた子どもたちと 子どもの心をもった大人たちに贈ります。
わたしたちはどこから来て どこへ行くのだろう。生きるとはどういうことだろう。死とは何だろう。
人は生きているかぎりこうした問いを問いつづけます。この絵本が 自分の人生を「考える」きっかけになってくれることを祈ります。
 この本は アメリカの著名な哲学者 レオ・バスカーリア博士が書いた 生涯でたった一冊の絵本です。(田中和雄)

■ご紹介:ハスノハ連携 お悩み相談にげんさんがお応えします
https://www.youtube.com/watch?v=WPq5jIGSPOs&t=7s

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
源光寺樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
仏教書朗読『あなたがあなたになる48章』第2章 福間玄猷YouTubeチャンネル

源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber
仏教説話『だいじょうぶだよ へいきだよ』(青少年版 メッセージ動画つき)

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA