また 春がめぐってきました

2020年6月7日

 次の朝は雪でした。初雪です。やわらかでまっ白でしずかな雪は じんと冷たく身にしみました。
その日は一日中どんよりしたくもり空でした。日は早く暮れました。フレディは自分が色あせて枯れてきたように思いました。
冷たい雪が重く感じられます。
 
 明け方フレディは迎えに来た風にのって枝をはなれました。痛くもなく こわくもありませんでした。
 フレディは 空中にしばらく舞って それからそっと地面におりていきました。
 そのときはじめてフレディは 木の全体の姿を見ました。なんてがっしりした たくましい木なのでしょう。
これならいつまでも生きつづけるにちがいありません。フレディはダニエルから聞いた“いのち”ということばを思い出しました。
“いのち”というのは 永遠に生きているのだ ということでした。
 フレディがおりたところは雪の上です。やわらかくて 意外とあたたかでした。
引っこし先は ふわふわして居心地のよいところだったのです。フレディは目を閉じ ねむりに入りました。

 フレディは知らなかったのですが-
冬が終わると春が来て 雪はとけ水になり 枯れ葉のフレディは その水にまじり 土に溶けこんで 木を育てる力になるのです。

 “いのち”は土や根や木の中の 目には見えないところで 新しい葉っぱを生み出そうと 準備をしています。
大自然の設計図は 寸分の狂いもなく “いのち”を変化させつづけているのです。
 
 また 春がめぐってきました。

***
 今日も冒頭に、『葉っぱのフレディ』を紹介した。

 50代のお母さんの満中陰に、お参りさせていただいた。
支度をしながら、ご門徒さんにこんな声かけ。
「今日のご法話は、Aコース、Bコースのどちらかから選んでくださいね。
Aコースは、お坊さんの難しいご法話
Bコースは、大人向けの絵本の読み語り
どちらになさいますか」
お参りになった方の中から「両方でも良いですか」という突っ込みもありましたが、
最終的に喪主に一人されて、Bコースを選ばれた。
お勤めの後・御文章を拝読し、『葉っぱのフレディ』の読み語り、最後にご法話として短いまとめをした。

 お斎(=ご法事における食事)を一緒にいただきながら感想を聞いてみると、
「絵本が難しかった」「やっぱり大人向きだった」「年をとっても、役に立つことがあるんですね」などのお声をいただいた。
「難しかった」と正直に感想を述べてくれた高校生には、「正直に、有り難う。
満中陰の時に難しい絵本を読んでもらったなあということが、(亡くなられた00さんとの)新たな思い出に加わりますね」とお応えした。
 
 そうなのだ。わかりやすいことが良いことだという風潮だが、世の中は、わかりやすいものばかりではない。
実際は、自分のことでもまだまだわからないことが多い。わからない、難しい=奥が深いということ。
だからこそ、いろんなタイミングで思い出すことが出来て、物事を考えるきっかけとなってくれるのだ。
私はこの絵本を読み続け、20年になる。今日も読みながら、新たな発見があった。
 
 単にお経をあげるだけなら、CDを流せば良い。お作法の紹介をするなら、インターネットで検索してもらえば良い。
AIも普及していく時代、生身のお坊さんとして何が提供できるだろうか。
それは、「問い」の提供だと思っている。同じ時代を生きる中で問いを提供し、それを一緒に問い続けていきたいと思っている。

■ご紹介:『葉っぱのフレディ』レオ・バスカーリア/作 みらいなな/訳 島田光雄/画
http://www.dowa-ya.co.jp/books/ehon/freddie/freddie.html

■新たな仏縁の創造を願ってご紹介
仏教説話『だいじょうぶだよ へいきだよ』(青少年版 メッセージ動画つき)

築地本願寺(浄土真宗本願寺派)ホームページ https://tsukijihongwanji.jp/
浄土真宗本願寺派ホームページhttp://www.hongwanji.or.jp/
源光寺樹林葬型公園墓地「びおらの丘」 http://www.genkouji.com/viola.html
仏教書朗読『あなたがあなたになる48章』第2章 福間玄猷YouTubeチャンネル

源光寺ホームページ http://www.genkouji.com/
お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト hasunoha(ハスノハ)https://hasunoha.jp/
絵本のお坊さんブログ http://genkouji.com/blog/
福間玄猷YouTubeサイト
https://www.youtube.com/channel/UCc73yUyaufMqtftsDFuoCoA?view_as=subscriber

■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
  として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
  などで、新たな出会いと学びが広がります。
5.お坊さんとのコラボをお受けできます。お坊さんとの化学反応を楽しみませんか。
6.お寺という宗教空間をお貸しできます。深い気づきや発見があるでしょう。
7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。(樹林葬型公園墓地びおらの丘)
9.仏教入門講座をおすすめします。仏教の教えや作法のイロハから、
  わかりやすくお話しします。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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