「悲しみを抱えて、夜眠れません」質問への返事を届けに高校へ 

2022年11月15日

10月に講演で寄せていただいた県立三次青陵高校を、再び訪れました。
校門付近には、生徒の皆さんが大勢集まっていました。
(あ、そうか!今日は文化祭なんだ)
生徒の皆さんは、この日のために色々準備を重ねてきたようで、心待ちにしている熱気を感じました。

市内中学校での「グリーフケア」に関わる講演がご縁となって、県立三次青陵高校でも、生徒の皆さんにお話しするご縁をいただきました。

ちなみに「グリーフケア」とは、
・ご家族や大切な人を亡くした人の複雑な悲しみの感情を理解して寄り添いながら回復をサポートすること。愛する人を亡くした遺族は長い悲しみの時期を経験します。ただ悲しいだけではなく、自分を責めたり、現実を拒否したり、無気力感なども複雑に絡みながら、痛く苦しい悲しみが少しずつやわらかな悲しみに変化していきます。そして、ご遺族を支えるのは、その死別体験の意味づけや人生の再構築にあるという考え方があります。
・つらい別れだったけれども、こういう価値観を私に与えてくれた、こういう考えを私に気づかせてくれた。そんなふうに耐え難い体験に意味付けができたとき、人は強くなり、生きていく力がつくのかもしれません。その意味づけに万人の共通の正解はなく、自分で心から納得できるものが見つかれば、その人にとっての正解です。
と紹介しました。

また、大人だけでなく、若い皆さんも次のような喪失体験を抱えていることがあること。
・社会的役割の喪失-退職・退任・転職・離職など
・財産・田畑・金銭・事業の喪失
・健康・記憶の喪失-老い・病気・介護・看護など
・人間関係の喪失-孤立・死別・離婚・近隣疎遠など
・安定・平和の喪失-犯罪・事故・災害・世情の急変・異常気象・戦乱・社会保障制度の脆弱化など
・生きがいの喪失-死への恐れ・不安など

これらの喪失体験をした後は、誰でも次のような心身の変化や反応を経験すること。
①身体的症状-呼吸障害・疲労感・食欲喪失・不眠・気力喪失・頭痛など
②心理的症状-思慕・罪責感・憂鬱・不安・怒り・敵意・孤独・絶望・幻覚など
③行動的反応-号泣・故人の行動の模倣・日常的なことが出来ないなど
④認知的反応-思考、判断速度の低下・ 集中力の欠如など
これらの症状・反応が複合的におこります。

そして、喪失体験直後の感情は永遠に続くものではないので、
「悲しい時には、安心して泣いていいのです。涙をこらえる必要はありません」
ともお話ししました。
講演の最後には、秦基博さんの「ひまわりの約束」も紹介しました。

数日後、教頭先生が生徒から感想を届けてくださいました。中には質問をくれた生徒もいて、その返事を先日お届けしたのでした。ここで質問の詳細を紹介することはできませんが、
「悲しみを抱えた時に、夜眠れないことがあります。どうしたら眠れるようになりますか?」
というのが、質問の一つでした。

「ぐっすり眠ることを焦る必要はなく、細切れ時間を見つけてベッドに横たわるだけでも疲れは軽減されます」
という回答に加えて、
「あなたは決して一人ではありません。家族・学校の友だち、そして先生など身近な人たちの力を借りることを遠慮しないで下さいね」
と書き添えました。

あなたなら、
「悲しみを抱えた時に、夜眠れないことがあります。どうしたら眠れるようになりますか?」
と尋ねた生徒さんに、どのように声をかけてあげますか?

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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