「お寺と教会の親なきあと相談室」とはなんですか?

2023年4月4日

■ご紹介:「一般財団法人 お寺と教会の親なきあと相談室」
https://otera-oyanaki.com/

心身の様々なハンディーや生きづらさを抱えていることで地域とのつながりが少なく、孤立しがちな人たちやその親世代が抱える問題は多岐にわたっています。しかも、親世代がいつまでも元気でいられるとは限りません。親世代が元気な間に地域でのつながりを拡げたり、今後手助けとなる行政の施策、民間団体のサービスなどについて相談できたりすることは、親子ともども大きな安心につながると思います。

学生としてどちらかの学校に在籍している間はさまざまな支援が受けられやすいのですが、学生が終わってしまうと、たちまち自立を求められる社会となっています。そのことが、自身のハンディーや生きづらさを強く意識せざるを得ないきっかけとなってしまい、さらに本人や家族を追い込んでしまうという悪循環になっています。

源光寺もこれまで「地域の駆け込み寺」として、様々な悩み事相談をお受けしてきました。その形は、傾聴。つまり、お寺という安心できる場所でお話をじっくり聞かせていただくことで、「自らの心の整理が促され、今自分に出来る事が浮かび上がってくる」伴走の役割を担ってきたつもりです。これは、以前ボランティア団体などの電話相談を担当していた頃から続けてきたスタイルです。「聞いてもらってうれしかった」という声が少なからずある一方、「本当にその方の支援になっているのだろうか?」「もっと、具体的な関わりが必要だったのではないだろうか?」などと、私が頭を抱えてしまうケースも多々ありました。それは、源光寺でお受けするご相談も同じでした。もっと、具体的に関われるために、様々な学びを重ねる必要性を感じたのです。その中で出会ったのが、福祉仏教入門講座だったのです。そして、その修了者などで立ち上げられた「お寺と教会の親なきあと相談室」だったのです。

この相談室は、全国ですでに13カ所の寺院支部が活動をしており、支部間での情報交換はもちろん、地元専門職の方との連携も大切にしています。さらに、財団に在籍する複数のアドバイザーに支部から相談できる体制も整っています。これらのバックアップ体制が整えられていることで、これまで私一人の経験や知識では十分対応できなかった相談事例についても、より具体的に関わりを持つことが出来るのではないかと考えています。

「このような活動は行政がすでに行っていることで、なぜお寺が取り組むのですか?」というお尋ねもございました。おっしゃるとおり、行政などの各機関も様々な取り組みを展開していますが、必要としている一人ひとりに充分届いていないと見受けられる場面が多々あります。それは、市民からの申請を受けてすべてが動くという原則も影響しているようです。つまり、困った状況を抱えている本人が「助けて」と声を上げなければ、せっかくの施策やサービスは有効に届かないということです。さらに、行政そのものも厳しい現状があります。特に県北は少子・高齢・過疎のまっただ中ですから、行政が取り組まなければならない課題は山積しています。でも同時に、職員等の人材不足や財源不足も深刻です。どうしても優先順位を付けて施策を進めることになります。きめ細やかに施策が、すべての分野には届かなくなっているのです。だから、これまでのように行政や専門職、特定の団体にお任せして困りごとが解決できる時代は終わったと思っています。そこで、地域の共通財産として守られてきたお寺、世代を超えて地元の方々と関われる僧侶として、わずかでも地域にご恩返しが出来たらと思っているのです。

4月15日(土)に財団理事である藤井奈緒さんをお招きして開設記念講演会を開催するほか、今後、定期的に相談会や語らいの会を開催する予定です。また、県北の専門職の方々への紹介をさせていただくことも出来ます。「大切な研修会や講演会は、いつも広島市や福山市に行かなければなりませんでした」との声も多く聞いてきました。これからは、「県北に生まれてよかった。 生きてきてよかった。これからも住み続けたい」と老若男女誰もが実感できる地域づくりのお手伝いをさせていただきます。興味を持ってくださった方は、『御堂さん』3月号に挟み込みましたチラシを再度ご覧ください。開設記念講演会にぜひご参加、もしくはご紹介ください。

なお、参加対象は関心を持ってくださった方ならどなたでもOKです。ご自身やご家族の終活などに関心がある方も、ぜひお越しください。会場準備の都合がありますので、事前にお申し込みを頂ければ幸いです。

開設記念講演会
① 4月15日(土) 「親なきあとの備えとは?」当財団理事 藤井奈緒さん
② 6月17日(土) 「親あるあいだのお金の話」行政書士 枝廣祐充子さん
③ 8月19日(土) 「想いを託す遺言」司法書士 近村義昭さん
各回13:30~15:30(講演・聞き合い・個別相談)
場所:源光寺(広島県三次市西酒屋町156)

また、以下のホームページをご覧ください。財団の願いや各支部の活動をご覧いただくことが出来ます。それぞれの地域で、素晴らしい取り組みがすでに始まっていますよ。

■ご紹介:「一般財団法人 お寺と教会の親なきあと相談室」
https://otera-oyanaki.com/

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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