お寺には多くの方々のお名前がある 永代経とは仏法相続への願い

2023年4月5日

永代経。それは、亡くなった故人の永続的な追善供養を、遺族がお寺にお願いするもの。そして、永代経懇志とは、その際の費用・供養料のこと。これを生前におさめておくと安心だ。
このように捉えている人々は、多いようです。

浄土真宗では、一人ひとりの供養にとどまらない、さらに大きな視点でとらえています。
そもそも、永代経とは、永代読経の略とされています。浄土真宗においての永代読経は、単なる00家先祖の追善供養とは捉えません。むしろ、永代にわたり(自分がいのち終わった後でも)、子々孫々・有縁の者が経典に出会い、仏法を聞き続けることの出来るようにとの先人の願いに重点を置いています。
その先人の願いを受け取っていただくためには、寺院の伽藍などが永代に護持され、伝道・教化活動が継続的に実施される必要があります。様々な活動がありますが、その中心となるものは定期的に開催されるご法座です。ご本尊である阿弥陀如来の願いと働きを聞かせていただく、お聴聞の場です。その相続のために、門信徒や地域の皆さまからお供えいただく懇志のことを永代経懇志と言ってきました。ご本尊(阿弥陀如来)からの、生前のお導きに対するお礼の気持ちも込められるため、お葬儀やご法事をご縁としてお供えいただくことが多いです。
そして、その懇志は、お金に限るものではありません。

源光寺では、いろんな方々のお名前を見つけることが出来ます。それは、仏具や荘厳、法衣や備品などに記されている事が多いです。それらを寄付してくださった方々のお名前なのです。そのお名前を目にする時、その方を偲ぶと共に、次世代への仏法相続という大いなる願いを思い起こすことが出来るのです。

毎年12月~1月にわたって、親鸞聖人の御生涯をあらわした「親鸞聖人御絵伝」をおかけします。先日は、その裏書きに思わず目が止まりました。私の知らない方々のお名前が記されていました。もうずいぶん昔にお亡くなさった方々でしょう。しかし、その方々が「御絵伝」を寄付してくださったお陰で、今改めて親鸞聖人の御生涯を偲ぶことが出来ている。このように、私が拝見し、耳に届き、手にさせていただけている仏法は、まさに多くの方々のおかげさまで相続されてきたのでした。改めて、感動を覚えました。

私たちも、必ずいのちを終えてゆきます。しかし、私たちが遺した仏法に子々孫々が出会ってくれるのなら、私たちが生きた日々はそれだけでも大きな意味をもっているのです。

■ご紹介:源光寺永代経法座 4月9日(日)朝席・昼席
ご講師 本願寺派布教使・光栄寺住職 佐藤知水先生(福山市) 講題「お浄土を聞く人生」

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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