「みんな真っ直ぐに伸びたがっている」これが父の口癖でした

2023年7月10日

 

「ブログの更新が止まっているけれど、何か変わったことでなければ・・・」と、私を案じてくださる数人の方からメッセージが届いていました。このように心寄せてくださる方がいてくださることに、本当に感動しています。

実は、6月下旬にであり、実父・藤大慶(西福寺前住職・るんびに苑前理事長)がお浄土に往生させていただきました。
近年、大腸がんを煩って以降体力の低下などはありましたが、日常生活はまずまずと思っておりました。離れているからといって毎日電話することはなく、たまにかける時も要件のみ。最後に「元気でいてね」「身体に用心してね」などと、何気なく声をかけるだけでした。6月中旬に入院の知らせを受けて京都・綾部に見舞いに行きましたが、容体も落ち着いていました。主治医の先生との面談でも「リハビリの具合は考慮することになりますが、週明けにも退院が出来るかも知れません」などとお話を聞いておりましたので、その数日後の急逝の知らせには、本当に驚きました。すぐに駆けつけたい気持ちでいっぱいでしたが、めったに入らないお葬儀が入り、それを済ませてから実家のお寺(大阪府茨木市)に駆けつけました。お通夜・お葬儀に関わる段取りは、兄家族がほとんど済ませてくれていましたので、私は簡単な手伝いをするだけで済みました。

父は、生前、「悩み事相談」や「青少年のよみがえりのための居場所づくり」に、全国各地を奔走していましたので、お通夜・お葬儀には、北は北海道、南は九州からも多くの方がお参りに駆けつけてくださいました。また「その時間にはどうしても都合がつかないけれど、お顔だけでも拝見させてください」と、お悔やみに来てくださる方々もおられ、親族としては本当に有り難い思いでした。予報では大雨が心配されましたが、実際はそれほどでもなく、ホッとしたのを思い出します。ただ、本堂に入りきらず、境内や参道でのお参りの方々も多く、お一人おひとりに十分なお礼が申しあげられなかったのが心残りでした。
私が学生時代に一緒に思い出を重ねた、るんびに日曜学校・るんびに太鼓のメンバーとも20数年ぶりに再会し、悲しみの中ではありましたが「あの頃」の思い出を語り合うことが出来ました。さらに初めてお目にかかる親族の方もおられ、近況報告や大きくなった子どもたちへのお声かけもあって、こうして集えることもうれしく思いました。

父は、20年ほど前に京都府綾部市において、児童心理治療施設「るんびに学園」を開設し、その運営に携わって参りました。開設に到るまでには筆舌に尽くせない試行錯誤と数え切れない方々のご懇念をいただいたことを、生前度々に申しておりました。同時に、この施設だけでは充分関わりきることが出来ない相談が多いこともつぶやいておりました。それが、最晩年に模索していた「るんびに牧場計画-アショカランド」でした。父存命中には成就しませんでしたが、その種まきは少なからず出来たのではないかと、私は感じています。あとは、それぞれの縁に応じた形で「お互いに支え合って生きていく場」が花開くことを念じています。

父の81年は、阿弥陀如来の智慧と慈悲に自らを問い続けた生涯であり、「青少年のよみがえりのための居場所づくり」に捧げた一生でした。そして、その父を懸命に支える母の姿がありました。私は、幼い頃からその後ろ姿を見ながら生きてきました。でも、私は父のような豊富な人生経験や能力・体力・行動力・包容力はありません。大きすぎる背中を見ながら、常に自分の力のなさや中途半端さを恥じながら生きてきました。ただ、父は、父だけでこれらの活動を進めてきたわけではありませんでした。母は勿論、本当に多くの皆さまのご尽力をいただいて、これまでのことに関われたのだと感じています。その多くの皆さまの輪の中で大きく成長できたことは、私のかけがえのない宝物です。

だから、広島の三次という地に迎えてもらった身として、私なりにどのような工夫をすれば「青少年のための居場所づくり」ができるだろうかと、この20年模索し続けてきました。その姿は、僧侶の皆さまの中では変わり者に見られているかも知れません。でも、もうこれは、両親やそれに賛同してくださる多くの方々から受け継いだ性分なのだと受けとめています。父生前にお寄せいただきました余りあるご厚情にお礼を申しあげますとともに、遺された私たちへのご指導・ご鞭撻を父生前同様にお寄せいただければ幸いです。 合掌

(6月中旬から様々な予定の変更などが生じ、多くの方にご心配をお掛けしました。なにぶん急逝だったため親族としては慣れないことも多く、数々の失礼があったことをお詫び申しあげます。まだまだ心配事は尽きませんが、昨日2七日が済みましたのでそろそろブログも再開させていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願い致します)

■ご紹介
西福寺 https://runbini-saifukuji.jimdofree.com/
るんびに太鼓 https://runbini-taiko.jimdofree.com/
るんびに学園 https://lumbini-ayabe.or.jp/
るんびに牧場計画-アショカランド https://ashokaland.com/

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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