北海道から無事に帰ってきました 学び多き2週間のご法話

2023年10月16日

三次も今朝(10/16)は気温が11度と寒かったですが、先日まで行っていた北海道ともあまり気温は変わらなかったようです。

私と北海道とのご縁は、古く平成7年にさかのぼります。1月17日に発生した阪神・淡路大震災の復興支援のために、各地からボランティアが駆けつけてくださる中に、北海道のお坊さまが神戸で「六甲庵」という支援拠点を作り、長きにわたり活動してくださいました。その頃、大阪の実家のお寺で和太鼓のグループをしていた関係で「六甲庵」との出会いがあり、父に続いて私もその活動を手伝ったことがあったのです。わざわざ、遠く北海道から手弁当で駆けつけて下さったお坊さま方の、エネルギッシュな活動ぶりに本当に感動したのでした。それが、私の僧侶としての原風景の一つなのでした。

きっと、そのことがきっかけで父が北海道常例線布教のご依頼いただくようになったのでしょう。さらには、父が北海道で目にし耳にし語り合い触れた様々なものが、子どもたちの自立支援の具体的な中核になったと聞いています。今回寄せていただいた中には、父が設立・運営に携わっていました「こども心理療育施設るんびに学園」(京都府綾部市)にバザーの売上金を寄付して下さったお寺さまもありました。父が存命中だけでなく、往生した後もこうして子どもたちの自立支援に心を砕いていただけますことは、息子の一人としても大変有り難く感激いたしました。

父と共に「るんびに牧場」計画を成し遂げることは出来ませんでしたが、今後は、私の出来る領域で「地域の人たちと俱に生ききる」ことを、一つひとつ形にしていきたいと改めて心しました。

今回の北海道常例線布教で何から何までお世話になりましたお寺さまにも、この場を借りて重ねてお礼を申しあげます。
(もし、故・藤大慶との思い出をお持ちの方がありましたら、ぜひお聞かせ下さい。どうぞ、よろしくお願いいたします)

この2週間は、北海道胆振組(いぶりそ)常例線布教に出講をさせていただいておりました。北の国での2週間にわたる長丁場、しかも6月に急逝した父の代理として勤めさせていただくため、大いに不安や緊張を抱えておりました。

この期間を私なりにふり返ってみるといろんな気づきや学びが多く、52歳という年齢においてこのご縁を頂けたことは、本当に感慨深いものがありました。「まさに仏縁」と何度も頭が下がりました。
あくまで私の主観ですが、気づきや学びのいくつかを自身の備忘録として書き出してみます。

・5ヶ寺の報恩講法要は、最長3日間、計6回のご法座をお勤めなさるお寺もあったこと。
・今回の報恩講法要だけでなく、毎月の法座や教化活動もお寺ごとにそれぞれ工夫をしながら熱心に開催されていること。
・おおよそ穏やかな天気が続いたことと、報恩講という一年で一番大切なご法要の点からも、ご門徒さんや地域の方々のお参りが多かったこと。
・コロナが少し落ち着いたとのことで、講師・お寺さまの接待や参拝者のお斎を仏婦の方々(80歳を超えている方も)が、イキイキとお世話されていたこと。
・お寺さま同士の参り合いの習慣がしっかり根付いており、自坊の月参りなどをお休みにして出勤をされていること。
・その参り合いの習慣は教えや作法・儀式の伝承にとどまらず、家族ぐるみのお付き合いや支え合いへと拡がっていること。
・専業のお寺さまも多く、次世代のお坊さまがその法務や諸活動を誇りを持って支えておられること。
・特別法務員というお勤めの資格を持つ方も多く、内容がよく分からなくても参るだけで感動を覚えるお勤めが毎回繰り広げられること。
・法要後のお寺さま同士の語らいの場も充実しており、様々なアイデアが飛び交い年齢問わずざっくばらんに話せる雰囲気が出来上がっていること。
・これらの背景には、北海道の特徴として浄土真宗など熱心な土地柄の皆さんの移住と、開拓時代の厳しい生活によって、地域の結びつきが強固になり信仰を支えに生き抜いた先人たちの姿が100年以上にわたってしっかり受け継がれていること。
・父のことを覚えていてくださる方があり、何人もの方が思い出話を聞かせて下さったこと。
・土地が大きいということは人々の生活や人柄にも影響するのか、若い世代や他の地域からの人たちを温かく迎えいれるおおらかな気質が感じられること。
など。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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