*絵本からもくみ取れる慈しみの心

2019年9月3日

 「慈しみ」とは「相手を労わり思いやる気持ちを持つこと」

 
 『おれはティラノサウルスだ』宮西達也さんの代表作だ。
初めて手に取ったとき、主人公がカタカナで文字も多く読みにくかったため、
つい敬遠したのを覚えている。しかし、その後も書店や図書館などでよく目にしていた。
子ども会の保護者からも勧められて、シリーズの何冊かを購入していた。

 地元の奥田元宋・小由女美術館(広島県三次市)で開催されている
「宮西達也NEWワンダーランド展」に行ってきた。
楽しかった。写真撮影はOKだし、模型も展示され、自由に読める絵本コーナーはあるし、
とても充実した内容だった。きっと、子どもたちも大喜びだっただろう。
そして、特設ショップでは、英語や中国語・韓国語にも翻訳された宮西さんの絵本が並んでいた。

「ティラノサウルス」シリーズは、親子の愛や友情、愛を守るための強さや思いやりを描く絵本です。
宮西先生は、「実際に大変なことが起きた時、本当に自分よりもひとをたいせつにできるのかはわからない。
でも、絵本でなら理想を語ってもいいんじゃないか」とおっしゃっています。
大人になると素直に言葉にできなくなる心の奥の純粋な気持ち、
こうありたいと願う気持ちをダイレクトに伝える物語は、自分をさらけだすことでしか描けません。
・・・どんなに恐ろしくみえるひとの中にもきっとだれかを愛する気持ちがあると信じる宮西先生が描く物語は、
「だれかを愛するってすてきでしょう?」と語りかけてきます。
 このように、編集者・浪崎裕代は紹介している。
『別冊太陽 宮西達也の世界』より引用 平凡社発行
 
 私は僧侶で、仏教を学んできた。そして仏道を生きている。
だから、その人生そのままを語ることで、皆さんに自利利他円満なる仏法をお伝えしたい。
そのことが、一人一人が本当に人生を生ききることにつながってくださったら、本当にうれしい。
と思って、様々な寺院活動を続けてきた。

 しかし、私は大きな勘違いをしていた。
仏の慈悲は、僧侶が独占するものではなかった。
僧侶が一方的に、一般の人々に教えるものではなかった。
仏の慈悲の働きは、本来十方世界に満ちあふれているからこそ、
その働きは縁ある一人一人が現世で感じ、受け取ることが出来るものだ。
そして、仏の慈悲に導かれた一人一人がその安心や喜びの中で、
「相手を労わり思いやる気持ちを持つ」ようになっていったのではなかったか。
さらに、その慈しみの心は、一人一人を突き動かしそれぞれが得意とする媒体・手段で、
既に発信し続けられてきたのではなかったか。宗教はもちろんだが、
世に流布している文学(もちろん絵本も)・美術・音楽・演劇・映画・デザイン・
スポーツ・医療・福祉・看護・介護・社会制度などからも、
慈悲の働き・慈しみに出会った人々の歩みや願いをくみ取ることが出来るのだ。
 
 生老病死に苦悩するのも人間であるが、その人生の中で
慈悲の働き・慈しみに出会えるのも人間なのである。
だから、これほど理不尽な世も生きるに値する世界なのだ。

■本日の絵本:『おれはティラノサウルスだ』宮西達也/作・絵 ポプラ社/発行
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/2670036.html

■ご紹介:奥田元宋・小由女美術館 「宮西達也NEWワンダーランド展」
http://www.genso-sayume.jp/index2.html

■絵本のお坊さん問い合わせ先 
 名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
 住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
 電話:0824-63-5906
 メール:gfukuma@agate.plala.or.jp
 源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
 Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
 絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/

■絵本のお坊さんが出来ること。
絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、仏さまの教えをお話しします。
悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会などで、
                    新たな出会いと学びが広がります。
お寺でのボランティアをご紹介します。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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