お米作りと仏の働きの共通点とは

2019年9月5日

 

月参りで車を走らせる時、その時々の田んぼの様子がよく眺める。
今は例年なら稲刈り時期なのだが、今年は予想以上の長雨で水が残り、
多くの田んぼで稲刈りを始めることが出来ない。
ようやく天気が安定しそうだと週間予報を見て段取りをしていても、
週間予報にはないゲリラ豪雨が降り、全ての段取りがずれてしまう。
稲の穂が実っているので雨や風でさらに倒れてしまい、収穫は非常に手間がかかるようになる。
もう少し田んぼを乾かしてからと、そのままおいておくともみから発芽をしてしまい、
たとえ収穫できたとしても、お米の質が落ちてしまう。
 
 農家の方々は、昔のようにもうけが出なくなった今でも、
「遺してくれた先祖に申し訳ない」
「機械が壊れるまでは続けていこう」
「草を生やすよりはよいから、お米を作ろう」
「会社員として働いて得た給料をつぎ込んで(=赤字)、何とか田んぼを守っているんです」
「離れて過ごす子や孫にお米を送るために、がんばっているのです」
などと、それぞれの思いを抱えながら、田んぼに向きあっておられる。
 
 「米という字は、八十八の手間をかけて作られた事に由来している」と聞いたことがある。
シーズン前の土作り・肥料散布から始まり、苗作り・田起こし・代かき・田植え・
草取り・稲刈り・乾燥・出荷となる。
これらの大まかな流れのほかにも、肥料やり・農薬散布・畦の草刈り・毎日の水の管理・
イノシシなどの動物侵入の防止など、日々の手間が欠かせない。
年配のご門徒(=檀家)さんは、「お米作りは毎年一年生だ」とつぶやく。
70才を過ぎた人生のベテランでも、お米作りは1年生?
「毎年色々考えてがんばっても、秋に必ず豊作になるとは限らない。
人間の努力・工夫はわずかなもので、最後はお天道さん(天候)次第なのだ」という意味だろうか。
その謙虚さと研究熱心な姿に、心が動かされる。しかも、お米作りをする人が高齢化と共に減少している。
効率を最優先に考える現代だからなおさら、
これだけ多くの手間暇がかかるお米作りに関わってくださっていることに、あらためて頭が下がる。
 
 あるお寺さまが、
「お米作りが廃ると仏法も廃る」
と教えてくださったことがある。もう20年近く前のことだ。
「目に見えないお米作りのご苦労を一つ一つ想像することが出来なくなると、
仏法の奥深さや阿弥陀仏の不可思議な働きも受け止めることが出来なくなるぞ。
しっかり聴聞せよ」という誡めの言葉であったと、私は折にふれて思い出すのだ。
 実際にお米作りをしたことはない私は、せめて、行き来する車窓から見える田んぼの変化を
目に焼き付け、農家の方々のご苦労に思いをはせる。
そして、手間暇かけて食卓に届けられたお米を、心から感謝していただいている。

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                   新たな出会いと学びが広がります。
お寺でのボランティアをご紹介します。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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