早いもので、2019年も残すところ10日あまりとなった。
これまでは、大晦日になると全国各地で「除夜の鐘」が響いていたが、
最近では、都市部を中心に「除夜の鐘をつけないお寺」があると聞く。
地域住民の声に配慮して、これまで続いてきた伝統行事を中止せざるを得ないという声も耳にして、
残念な気持ちを抱く一人だ。
ところで、あなたは、お寺で「除夜の鐘」をついたことがあるだろうか。
そして、その意味を聞いたことがあるだろうか。
そもそも、僧侶である私たちが「除夜の鐘」の意味を広くお伝えできていたのだろうか。
祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらは(わ)す。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏に風の前の塵に同じ。
〈口語訳〉
祇園精舎の鐘の音には、
諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、
どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、
春の夜の夢のようである。
勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、
まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。
これは、皆さんも昔習ったことがある『平家物語』の冒頭である。
祇園精舎とは、インドの古い時代、仏教の開祖・釈尊がいた頃へ話がさかのぼる。
釈尊に帰依した現地の資産家が、釈尊とその弟子たちのために建てた僧院とされ、
そこで釈尊は教化活動を続けた。
その僧院の鐘の音を聞きながら、人々は諸行無常という世の道理を学んでいたというのである。
その鐘が、仏教伝来と共に日本にも伝えられた。
大晦日につく「除夜の鐘」の回数が108回であることは、案外よく知られている。
それは、人間の煩悩の数とされ、鐘を1回たたくごとに煩悩がなくなり、
108回たたくと全て煩悩が消え去って清浄なる身になって新年を迎えられるという考え方が、
「除夜の鐘」の根拠になっている。
だから、除夜の鐘は、自分の煩悩(=自分中心に物事を見て、考えて、行動をすること)
に目を向ける大切な機会であり、煩悩に開き直るのではなく、
本来は煩悩を無くすということを目標としてきた仏教行事の一つである。
そして、人生の苦悩の原因を他者に転嫁したくなる私に対して、
「まず、自分の見方、考え方、行動をふりかえることから始めよ」と教えている。
つまり、「除夜の鐘」は、この1年をふりかえり、自分を見つめなおすことの出来る大切な仏縁なのだ。
出来るならば、この「除夜の鐘」の意味が広く伝わり、
各地の寺院の「除夜の鐘」が人々に大切な導きを与えてくださるとうれしい。
その上で、浄土真宗の開祖・親鸞聖人は、
煩悩は自分の力ではとうてい消し去ることの出来ない根深いものだとし、
その私を救いの第一目標としてすでに働いているのが、阿弥陀仏だと教えている。
さあ、今年の大晦日はご縁のあるお寺さまに参り、「除夜の鐘」をついてみよう。
■ご案内:源光寺除夜のつどい 12/31 11:30~翌1:00ごろ
鐘撞き おぜんざい接待 お勤め ご法話 記念色紙贈呈 お年玉
■絵本のお坊さん問い合わせ先
名前:福間玄猷(ふくまげんゆう)
住所:広島県三次市西酒屋町甲156 源光寺内
電話:0824-63-5906
メール:gfukuma@agate.plala.or.jp
源光寺ホームページ:http://www.genkouji.com/
Facebook:https://www.facebook.com/gfukuma
絵本のお坊さんブログ:http://genkouji.com/blog/
YouTube動画:NO.1 2019源光寺サマースクールの一コマ
https://www.youtube.com/watch?v=nGl8akzD2gQ&t=48s
■絵本大好き住職が出来ること。
1.仏さまのお話(=ご法話の会) ご依頼の場所へ出向き、人生の確かなよりどころ
として仏さまのお話しをします。
2.絵本の読み語り ご希望の場所に出向き、年齢にあわせた読み語りをします。
3.悩み事相談 人生・子育て・孫育て・人間関係・仏事などのご相談をお受けします。
4.お寺での楽しい行事をご紹介します。-門信徒会・仏教婦人会・お寺の子ども会
などで、新たな出会いと学びが広がります。
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7.お寺でのボランティアをご紹介します。
8.お墓の相続に関するご相談もお受けします。
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わかりやすくお話しします。