「多くの人は葬儀か法事で初めて仏教のお経を聞き、これらは日本語かいな?と思いながら出会うことで、異質の文化と認識させていることに問題があるように思います。異質の文化と感じさせているのは、お経ですね。
曹洞宗のお経は、日本語で語られている。難しい面もありますが、それでも何とか理解できます。こうしたことをせずに、何百年もやっていることに問題意識を持たないことに不思議さを感じざるを得ない。凡人に分かり易く説く努力をされていない」
インターネットを介して頂いた、とても大切なご指摘でした。
あなたは、このご指摘このご指摘に同感ですか?それとも・・・。
私は、次のようにお応えをしてみました。
「メッセージ有り難うございます。お経に対する、同じような問題提起は今までにも多くの方々からお受けしてきましたので、同感いたします。
せっかくのご縁ですからご紹介をさせていただくと、「凡人に分かり易く説く努力をされていない」ことに安住している訳ではなく、私たち浄土真宗本願寺派でも、経典の現代語訳やその内容をやさしくお話しする法話会や講座を各地で実践しています。
どうぞ、仏法を本気でお求めであれば、ご縁のお寺さまに本気でお尋ねください。本気のお坊さまなら、きっと本気で関わってくださると思います。
だって、こうしてメッセージを寄せていただけるということは、まだ仏教に期待してくださっている証ですもの。私もうれしいですし、気合いが入りました。以下に、お経の現代語訳の一例をご紹介いたします」
そして、本願寺派が長年の研究成果を総動員して編纂・現代語訳された『浄土三部経(文庫版)』(浄土真宗本願寺派・本願寺出版社発行)をご紹介しました。
地方寺院一住職の私としては、
「葬儀か法事で初めて仏教のお経を聞き」
ということにならないよう、日常生活の中でお経に出会い仏さまの教えを聞きたいと思っていただける工夫を、これからも重ねたいのです。
最後に、『浄土三部経(文庫版)』の前書きも添えておきます。
この現代語版は、伝統的な解釈を十分尊重しながら、新しい研究成果を加味して、浄土真宗の本義を明らかにしようと意図しました。ことに、私たちの教団が同朋運動の歴史のなかで確認してきた視点に立って、この現代語版においては、特に留意すべき箇所について訳註のなかで示しました。いうまでもなく、今回の出版において現代語版の編纂が完成したということではありません。今後もひろく諸賢のご批判、ご助言をいただきながら、改訂を重ねて、つねに時代に即したものとなるようにしていきたいと考えています。聖典の拝読を通して、真実によびさまされ、人生を歩んでいく大きな力を得られますよう念願してやみません。
平成8年3月 淨土真宗聖典編纂委員会
■ご紹介:
『浄土三部経』(文庫版)淨土真宗聖典編纂委員会/編纂 本願寺出版社/発行
https://hongwanji-shuppan.com/item/detail.html?icd=978-4-89416-139-9