「あ、このことだったか!!」中学校の授業で大発見した孫 

2023年2月23日

あるご門徒さんのお宅に、月参りに寄せていただきました。そのお宅には、小学生と中学生のお孫さんあわせて3人が一緒にお参りくださるお宅です。息子さんが結婚される前から寄せていただいているので、もう20年以上月参りが続いています。おじいさんの月命日には、正信偈・御文章・(時に絵本)・ご法話という流れでお勤めしてきました。ちなみに、御文章は、「聖人一流章」の原文に続いて現代訳を拝読してきました。中学生のお孫さんは、その現代訳をすっかり暗唱出来るようになっています。積み重ねの力はすごいですね。

その日、お参り前に皆でお茶を頂いていると、中学生のSさんが、とてもうれしそうに学校での出来事を話してくれました。
Sさん「今日、日本史の授業があったんです。鎌倉仏教でした。親鸞と浄土真宗というところでした。その名前を聞いた時、あ、聞いたことがあると思いました。「親鸞は、阿弥陀仏の救いを信じる心さえあれば、極楽浄土に行けるという教えをひろめた」と先生の説明を聞いた時、(あ、このことだったか!!)と思いました。月参りで玄猷先生と一緒に読んでいたあの言葉を思い出したんです」
あの言葉とは、月参りでSさんとも一緒に読んできた『御文章』聖人一流章の現代訳だったのです。

親鸞聖人のひらかれた浄土真宗のみ教えでは、信心が根本です。そのわけは、自力のはからいを捨て、一心に阿弥陀如来に帰命すれば、思いも及ばないすぐれた本願のはたらきによって、如来が私たちの往生を定めてくださるからです。往生が定まったその位を、「一念発起入正定之聚」と示されています。そして信心を得た後に称える念仏は、如来が私の往生を定めてくださったご恩を報じる念仏であると心得るべきです。(五帖第十通) 「御文章ひらがな版・拝読のために」本願寺出版社

なんと言うことでしょう!!
おじいちゃんのご命日に、20年以上欠かさず家族でお参りが続けられていること。
一緒に正信偈を称えるだけでなく、御文章の現代訳を暗唱できること。
学校の授業に一生懸命取り組み、月参りで聞いてきたこととの一致点を発見できたこと。
その大発見を自分の言葉で伝えられたこと。
Sさんと私のやりとりを小学生の弟や妹も一緒に聞いていること。

私「クラスのみんなで一緒に受けていた授業だけど、そんな感動を持って授業を受けたのは、Sさんだけだったかも知れないね。先生も、Sさんの大発見にひょっとしたら気づいていなかったかも知れないね。でも、こうして聞かせてもらえて、とてもうれしかったよ。では、ここでお尋ねです。その大発見のチャンスをくれたのは誰だったでしょうか?(間)
たしかに、Sさんたち家族が仕事や学校・習い事の予定などをやりくりしてお参りを続けてくれたことはもちろんです。でも、もし今でもおじいちゃんが生きておられたら、今日のような月参りはなかったでしょう。おじいちゃんが亡くなられたことは悲しいけれど、そのことがご縁となってSさんたちがこうしてお仏壇の前で正信偈を称えたり、ご法話を聞いて下さったりというチャンスが出来上がっているとするなら、今日の大発見はおじいちゃんのおかげということになりますね。まさに、おじいちゃんが仏さまになって、Sさんたちに大切なことを教えてくれているということになりますね」

今月がおじいちゃんの23回忌になります。さあ、今回はご家族のどんなお話が聞けるでしょうか?今から楽しみです。

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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