寺社仏閣の被害も甚大 報道にのらない現実 

2024年2月7日

あなたも、日本史で「加賀の一向一揆」という言葉を覚えた経験があるのではないでしょうか?加賀とは、今回の能登地震で甚大な被害を受けた地域の一つ、石川県のことです。お寺や仏教に興味がない人であっても、「加賀の一向一揆」は日本史を代表する歴史的事実として認識されています。「加賀の一向一揆」とは、1488年に加賀の守護大名・富樫政親が浄土真宗を弾圧したため、約20万人もの浄土真宗門徒(信徒)が立ち上がり起こした一揆のことです。一揆での勝利をきっかけに、以後100年間にわたって、加賀は浄土真宗門徒が支配する国となったことも有名です。
現在では、浄土真宗各派だけでなく各宗旨寺院が熱心に伝道活動を重ねる土地柄となっています。

この度の能登地震では、数多くの寺社仏閣が全半壊などの被害を受けているようです。私が所属する本願寺派だけを見ても、新潟・富山・石川・福井・岐阜の各県にまたがり500カ所もの寺院が被害を受けているとの報告がありました。本願寺派金沢別院では、1月8日に能登半島地震支援センターを設置。2月1日には、ボランティアの受付を開始したようです。ただ、このような寺社仏閣の被害は、一般のニュースではなかなか報道されていません。その背景には、「寺社仏閣での盗難被害を防ぐ意味から報道を控えて欲しい」という現地からの要望があったとも聞いています。

この背景を知って、私はとても複雑な気持ちになりました。「日本人は災害時においても整然と順番を守り、互いに助け合う素晴らしい国民性を持っている」と、海外の方々から評価されていることを何度も聞いたことがありました。しかし、被災地での窃盗や性被害などが起こっていたのも事実です。そして、今回も残念ながら例外ではなかったようです。犯罪防止のために県外から警察官が派遣されたり、防犯カメラが増設されたとの報道もありました。「火事場泥棒」という言葉が昔からあるように、人間の持つ光と闇を見ているようで、とても複雑な気持ちです。

人々の関心は、報道に大きく影響されます。これまでの自然災害においても、何度も取り上げられる地域では有り余るほどの支援物資が届き、一方、報道陣が駆けつけられない地域では支援が極端に遅れるという事例が見られました。これまで長年にわたり人々に寄り添い、共に歩んでこられた寺社仏閣が取り上げられないということが、人々の関心の薄れにつながってしまうのではないかと危惧しています。さらに、寺社仏閣の再建は、公的資金の対象外となっています。地域や門信徒・檀家さんのご協力なくして、再建はあり得ません。しかし、これだけの甚大な被害を受けた地域ですから、門信徒・檀家さんの生活再建はかなり厳しい道のりになるでしょう。寺社仏閣の再建を如何に進めることが出来るのか、多くの知見を集めたいです。

私も、発災直後に浄土宗のお寺さまからの呼びかけに応じて、わずかばかりの支援物資をお届けさせていただきました。長く続くであろう現地の復旧・復興に関心を向けつつ、これからも細く長く関わっていきます。

■ご紹介:本願寺派金沢別院 能登半島地震支援センター
https://jovial-notosien11.wordpress.com/

投稿者について

福間 玄猷

1971年生まれ。本願寺派布教使・源光寺第14代住職 別名「絵本のお坊さん」 大阪府茨木市出身。平成8年三次市・源光寺へ入寺。《様々な経験を持った人々が集い、信頼できる温かなつながりを育む》そのような交流館を目指して、赤ちゃんからご年配の方まで世代を超えた活動を続けている。寺院や福祉施設はもちろん、各地の学校や保育所、コミュニティーセンター・いきいきサロンなどに招かれ、「いのち・こころ・真実を見つめる」ご法話や講演を重ねている。また、「子育て支援」「アドバンスケア・プランニング」「グリーフケア」を柱にした研修会も好評。子どもたちと富士山登山を3度完遂。グリーフケアアドバイザー1級/発達障害コミュニケーション初級指導者/つどい・さんあい 運営委員

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